花の陸上男子100メートルの金メダル最有力候補が東京オリンピック(五輪)の舞台に立てなくなることが確定した。

スポーツ仲裁裁判所(CAS)は16日、19年世界選手権男子100メートル覇者のクリスチャン・コールマン(25=米国)の資格停止処分を18カ月にすると発表した。その期間は20年5月からで、21年11月まで、8月の五輪には出られなくなった。

コールマンは抜き打ちのドーピング検査に必要な居場所情報の申告を、19年1月、4月、12月と、3度怠っていた。それによりドーピング違反と同様の扱いとなった。世界陸連の独立部門「インテグリティ・ユニット(AIU)」が昨年10月、22年5月まで2年間の出場停止とする処分を下していた。

その後、コールマンはCASに異議を申し立てていた。その主張は一部認められ、3回目の違反では連絡があれば、60分以内に事前の申告場所に戻れたことを考慮し、出場停止の期間は「2年」から短縮されたが、それは「18ケ月」という裁定だった。

今回も不服とする場合、スイス連邦最高裁に上訴できるが、時間は限られている。

コールマンは驚異的なスタートダッシュが武器で、100メートルの自己記録は9秒76。60メートルでも6秒34の世界記録を持つ。19年世界選手権では銀メダルだったジャスティン・ガトリン(39=米国)に0秒13差の圧勝。400メートルリレーでも第1走者として米国の金メダルに大きく貢献した。17年世界選手権でも100メートルと400メートルリレーで銀メダルを獲得。引退したウサイン・ボルト氏に次ぐ、スプリント界を担う存在として期待されていた。