東京オリンピック(五輪)の陸上男子1万メートル代表に内定した伊藤達彦(23=ホンダ)は東京五輪で8位入賞を目標に掲げた。

27分33秒38で優勝した日本選手権から一夜明けた4日、静岡・掛川市内のホテルでの会見に登壇。初の大舞台に向けては「1万メートルで入賞できるように頑張りたい。自分のような無名選手でも、誰にもチャンスあると、持ち前のガムシャラな走りで証明していきたい」と語った。

もともと現実的にはパリ五輪が目標だったが、延期によって東京を狙う方針に切り替えた。年明けに直面した両大腿(だいたい)骨の疲労骨折、右太もも裏の肉離れという故障を乗り越え、生まれ育った静岡県で開催された日本選手権で切符をつかんだ。

浜松商高では目立った成績は残せなかった。東京国際大入学後、19年ユニバーシアードで銅メダルを獲得するなど着実に成長していった。その時から「ライバル視している」のが、東洋大から旭化成へと進んだ同世代の最強ランナー相沢晃(23)だ。

自身は昨年12月の日本選手権1万メートルで東京五輪参加標準記録(27分28秒00)を突破する日本歴代2位の27分25秒73をマークした。しかし、順位は2位で、その時に日本新記録で優勝し、一足先に代表内定を決めたのが相沢だった。「自分も絶対に内定を決めて、またオリンピックの舞台で勝負してやろうと思っていた」と、レースの心境を振り返った。

相沢とは大学の時から好勝負を繰り広げてきた。他の選手は付いていけないペースゆえ、2人だけで走り続ける様子はインターネット上で、いつしか「ランニングデート」と呼ばれるようになった。その事について聞かれると、「とてもうれしいというか、おもしろい。そういう事を言っていただけることで、陸上界が盛り上がっていけばいい」と笑顔で話した。

また、レース後に相沢から「おめでとう。これで一緒に走れるね。また飯でも行こうよ」と祝福のラインが届いたことも明かした。