陸上の東京オリンピック(五輪)代表の最終選考を兼ねた日本選手権(大阪・ヤンマースタジアム長居)が24日から開幕する。

花形の男子100メートルは、予選が午後3時40分から、準決勝が午後7時32分から行われる。決勝は25日午後8時30分から。

史上最高にハイレベルで、スリリングな戦いになる。自己ベスト9秒台は山県亮太、サニブラウン・ハキーム、桐生祥秀、小池祐貴の4人。それに6日に10秒01をマークした多田修平を含めた5人が、東京五輪の参加標準記録10秒05を突破済み。この5人は「3位以内」に入れば、代表に決定する。裏を返せば、2人は落選する。事実上、決勝の“一発勝負”。0・01秒が天国と地獄の境界線となる可能性も十分にある。まさに1つのミスが命取りだ。

ケンブリッジ飛鳥は昨年8月に自己新の10秒03を出したが、それは参加標準記録の対象外期間だった。世界ランキングでも圏外で、まず日本選手権で10秒05を上回るタイムで走らなくては、代表の可能性はない。

優勝争いは6日の布勢スプリントで9秒95の日本新を出した山県が中心だろう。大舞台での強さも際立つ。前日本記録保持者サニブラウンは19年秋の世界選手権以来、約1年7カ月ぶりとなった先月31日の実戦で、追い風参考3・6メートルの条件下ながら10秒25と少し不安を残した。拠点は米フロリダ州で隔離期間もある。

5月下旬に右アキレス腱(けん)を痛めた桐生だが、布勢の予選では追い風2・6メートルの参考記録ながら10秒01を出した。連覇も懸かる日本選手権に、調子をどこまで整えられるか。小池は持ち味のスタートが好調時の姿に戻るか。不振を乗り越えた多田は、右肩上がりに調子を上げ、勢いがある。ケンブリッジは今季、左脚の違和感に悩む。

◆日本選手権男子100メートルの過去5年の優勝タイム 10秒0台が3度で、17年サニブラウン10秒05、18年山県10秒05、19年サニブラウン10秒02(大会新)。リオデジャネイロ五輪の選考会だった16年はケンブリッジが10秒16、コロナ禍で秋開催だった昨年は桐生が10秒27で制した。