男子3000メートル障害で三浦龍司(19=順大)が初優勝を飾り、東京五輪代表に内定した。最終盤に水濠で転倒しながらも、自らの日本記録を更新する8分15秒99。16年リオデジャネイロ五輪5位相当の好記録を出し、五輪で決勝進出を誓った。2位の山口浩勢(29=愛三工業)と3位の青木涼真(24=ホンダ)も、参加標準記録8分22秒00を突破して内定。7月30日、東京五輪における陸上最初の種目で華麗なるスタートダッシュを決める。

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残り1周半を切った勝負どころで、三浦は体を地面に打ちつけた。水が張られ、高さ91・4センチの障害を越える水濠。その着地時に転倒し「一瞬、頭が真っ白になった」。ただ、すぐに起き上がり、山口と青木を一気に抜く。衰えないスピードに場内はどよめいた。ピンチを日本記録更新につなげ「自分としては満足したレース。擦り傷等はあるんですが、走りに影響なかったです」と冷静に喜んだ。

男子短距離の桐生祥秀らを生んだ京都・洛南高から、昨春に順大へ入学。今年1月には箱根駅伝の1区を走った。全国的に注目される駅伝に比べ、知名度は劣る。「自分も3000メートル障害を始めるまでは、この競技を知らなかった」。2位になった29歳の山口が「世代トップの選手が取り組むようになった。僕が高校生の時は5000メートルとかで漏れた人が取り組む感じだった」と明かす。国内のレベルアップに大きく貢献している三浦だが「認知が上がってもマイナー種目」と今の立ち位置を分析する。

五輪では予選が陸上全体で最初の種目となる。「あまり意識しないようにする」と言いながら、誓った。

「(8分)10秒前半を出して、決勝に進むのが第一目標。もっと認知してもらって、盛り上がっていけるような走りをしたいです」

島根生まれの19歳が、固定観念を覆す。【松本航】

◆3000メートル障害 3000メートルの間に障害物(高さは男子91・4センチ、女子76・2センチ)を28回、池のような水濠を7回越えていく。各周に5回の障害物があり、その4番目が水濠であることがルール。水濠以外の4つの障害物は移動式。手をかけて越えていいが、外側を通ったり、下をくぐるのは禁止。五輪の日本勢最高は72年ミュンヘン五輪の小山隆治で9位。