27日に閉幕した陸上の日本選手権で男子100メートル初優勝を飾った多田修平(25=住友電工)と2位の山県亮太(29=セイコー)が28日、悲願成就へ早くも結束した。大阪市内で行われた五輪内定会見に出席。100メートル代表は男子400メートルリレーメンバーを兼ねる。共に第1走者の経験が豊富だが、多田は1走にこだわり、山県は「どこでもいい」とあうんの呼吸を披露。初の金メダル獲得へ、リレー侍の準備も本格化する。

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日本のお家芸「バトンパス」を連想させる、スムーズな意思表示だった。3日前に100メートルで五輪内定を決め、壇上に座った2人。希望走順を問われ、4歳年上の山県が「じゃあ、自分から」とマイクを握った。

山県 走順に関しては、僕はどこでもいいです。適材適所で。

五輪2大会連続で1走を務め、16年リオデジャネイロ大会は銀メダル獲得。経験豊富な29歳がドンと構えた。続いて多田の番。山県不在の17、19年世界選手権で1走を担い、2大会連続銅メダルに貢献してきた。

多田 僕は「1走がいいなぁ…」と思います。今まで、ほとんど1走をやってきて、他の経験があまりない。すみません、自己中みたいな発言ですけれど…。

少し申し訳なさそうな口調だが、持ち味のスタートは100メートルで証明済みだ。

リレーは個人種目の代表選手が走る権利を得られる。200メートルで五輪内定、100メートルで決定的とする小池祐貴(住友電工)、200メートルで代表が決定的なサニブラウン・ハキーム(タンブルウィードTC)。加えて2枠の「リレー専門要員」にはデーデー・ブルーノ(東海大)、桐生祥秀(日本生命)が濃厚だ。今後はリレー強化合宿も予定され、山県は「日本の強みはチームワーク。金メダルを目標にやっていく」。総合力で頂を目指す。【松本航】