陸上の男子110メートル障害東京五輪代表の金井大旺(25=ミズノ)が4日、法大多摩キャンパスで練習を公開した。

男子110メートル障害はかつて「世界から一番遠い」とも言われた種目。しかし、自己記録13秒16は世界大会の表彰台を狙える水準だ。初出場となる五輪では過去に世界選手権も含め、同種目日本人初となる決勝進出を目標とする。「まだ1人も成し遂げたことない。歴史的にも世界に通用できていないイメージがある。今の日本はレベルが上がっている。1人でも多く決勝に進出できれば、また110メートル障害の見方も変わってくる。自分自身が決勝進出をして、道を開いていきたい。準決勝で自分の力を発揮することが大事」と語った。日本選手権では13秒22の2位で代表に内定していた。

4月の織田記念でマークした13秒16の日本記録は、日本選手権決勝で13秒06を出した泉谷駿介(21=順大)に塗り替えられた。「日本記録保持者」の肩書は約2カ月で失った。ただ、奪還を目指す気持ちは大きなモチベーションとなっている。「自分が一番速い記録を持っている状況より、国内で自分より速い記録を持っている人がいる方が気持ち的はいい。刺激になる。泉谷君に記録を出されて、絶対に超えてやろうという気持ちになっている」。日本新を五輪の準決勝で出せれば、目標に掲げる決勝はほぼ確実となる。

主な国内競技会と五輪とは、使われるハードルが異なる。五輪はモンド社製で、それは頑丈で倒れにくいという。足をぶつけると大きな減速につながる可能性もあるという。金井はモンド社製のハードルを約3年前に5台購入。東京五輪へ向け、対応を進めてきた。

今季が終われば、歯科医師の道を目指し、現役を退く意向を示している。今がまさに全盛期だが、その意向は変わらない。「昔から医療従事者になりたい気持ちが強かった。そのために勉強もやり、受験に向けてやってきた。もちろん陸上も戦うことも好きだが、区切りを決めるからこそ今の自分がある。1点集中ですべてを出し尽くして、次の道に進もうと思う」と決意を述べた。