12年ロンドン五輪フェンシング男子フルーレ団体の銀メダリストで、前日29日に出前のアルバイトを始めていた三宅諒(29=フェンシングステージ)が30日未明、投稿サイト「note」で初出勤の結果を報告した。

目指す東京オリンピック(五輪)の1年延期、かさむ国際大会の遠征費などで「お金がないから」として食事デリバリーサービス「Uber Eats(ウーバーイーツ)」の配達員に挑戦。計8件、回って4688円だったという。オリンピアン、メダリストとして異例の挑戦初日を終え「まずはできることをやるのみ!」とつづった。

三宅は前夜、noteで「明日からバイトを始めます。(前編)」と宣言。「お金がない→スポーツができない、から、スポーツがしたい→お金がない、にパラダイムシフト(価値観を180度転換)させる」ため、足腰のトレーニングも兼ねてUber Eatsの配達員として稼ぐことを決断していた。この日は「後編」を午前3時19分にアップ。「正直な思いを書いていたら、こんな時間になってしまいました」とツイートし、noteを引用した。

「思いの外、メディアでの反響をいただき、ただただ驚いているばかりです」

そんな所感で始まった投稿によると、まず、今年1月に個人スポンサー契約が満了した、などの情報について「打ち切られたわけではなく保留にしていただいているということを強調しておきます」と説明。「『コロナによって全てのスポンサードが打ち切られた悲劇のアスリート』として取り上げられがちですが、実際のところはスポンサーの継続のお願いをしたいのだけれども自分がそれに見合う人物かを考える材料がないため待ってもらっているのです」「正直に言うと、スポンサーの継続をお願いする勇気と自信を見いだすことができなかったため、状況が明確になるまで待ってもらうしかなかったのです。それに何もできない自分の1年後まで考えることが、とても苦しかったのです」と打ち明けた。

続けて「でも、ここで終わりたくないのでパラダイムシフトです」。結果にとらわれず、企業側が求めるイメージについて考えるよう発想を逆転。その結果、異例のアルバイトを始めるに至り「気持ちに正直になり、まずは自分で遠征費を稼ごうと思いました。そして、その行動はすぐさま起こさなければ『イメージ』から遠ざかります。また、この期間の体力面の衰えを防ぐことができ、密の状態を極力避けられる仕事を探した結果がUber Eatsなのです」と意図を解説した。

「この判断が正しいものかどうかは、僕にはわかりません」とも吐露しつつ「もっともっとフェンシングと向き合い、好きであり続けることから逃げてはいけないのです」。だから「何としてでも遠征に行かなければならないのです」-。そのためのメダリスト×配達バイトという異色の取り組みが話題になっている。