東京都の小池百合子知事は10日、17日開催で調整されていた国際オリンピック委員会(IOC)、東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会、政府との4者会談に出席しないと表明した。

森喜朗・組織委員会会長の女性蔑視発言を受け「今開いてもポジティブな発信にならない」と述べた。準備状況を話し合う重要な会議の欠席表明は極めて異例。森会長に対する批判はやまず、孤立が深まるばかりだ。12日には森会長も出席した組織委の臨時会合が開かれる。何を語るのか。

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独特の政治勘を持つといわれる小池氏。10日の登庁時、17日開催で調整中と報じられた4者会談に欠席すると突然表明した。「今ここで開いてもあまりポジティブな発信にならない。出席はやめようと思う」。森会長の発言後、都への抗議の電話やボランティアの辞退が続く現実に触れ「コロナを抑えて盛り上げていく中で皆さんに不快な思いをさせた。開催都市の長としてとても残念」と語った。

都には10日夕までに都民から累計1690件の意見が寄せられた。都市ボランティア辞退は計126件。小池氏はこの日夜、4者会談の17日開催を「数日前に聞いた」とした上で「(話題が)ネガティブになってしまうと、目はそちらばかり。器用に整えていくことも必要」と述べ、4者会談は状況が落ち着いた後に開くべきとの認識を示した。

森会長の「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などの発言後、小池氏の発言は微妙に変化した。4日午前には「話の長さは人による。女性の声を生かすのは当たり前」と突き放し、5日午前には「絶句した」と、より踏み込んだ。この後、森会長から電話で謝罪され、一転“軟化”。5日午後の会見では、森会長は会長にふさわしいか問われ「誰がふさわしいかは組織委の判断も必要」と明言を避けた。

ある関係者は「小池さんは森さんともともと関係が良くないが、あえて辞任に踏み込まず、貸しをつくった。その後も森さんへの批判はやまない。小池さんは機を見るに敏な政治家だ。世論の反応を踏まえ、距離を置く判断をしたのではないか」と指摘。別の関係者は「暗に辞めてほしいというメッセージ」と語った。

「進退を決められるのは会長本人だけ」(与党関係者)。森会長が万が一辞任すれば、東京大会の機運全体に影響しかねないとの不安が政府与党内にはある。一方で著名財界人や議員経験者、女性を「後任」にとの声も飛び交う。12日の会合は、「森体制」の今後を占う大きなヤマ場となる。