東京都などが五輪・パラリンピック期間中に予定している大規模パブリックビューイング(PV)計画のうち、都立代々木公園では会場をワクチン接種に転用し、五輪期間中のPVは中止することが1日、分かった。しかし代々木のパラリンピック期間については未定で、都立井の頭恩賜公園など他会場については、両大会とも予定通りPVを実施する方針に変わりはない。人を集める場所を設置する計画に対して各方面から批判が噴出しているが、今後も反発が続きそうだ。

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小池百合子都知事は1日の都議会定例会の所信表明の中で、築地市場跡地で今月8日から警察や消防関係者らを対象に始まるワクチン接種に言及した上で、大規模PV計画「東京2020ライブサイト」に触れ「築地の会場は6月末で閉鎖するが、代々木ライブサイト会場をワクチン接種会場として転用する予定」と明らかにした。また、議会後の取材に「有効に活用していくということ。(PV実施については)これからのコロナの状況にもよるが、まずはワクチンに集中していきたい」とも話した。

築地市場跡地は大会時に車両基地となり今月末までしか使えないため、都は警察や消防官関係者らの2回目の接種のため、別の接種会場を検討していた。その場所として、渦中の代々木公園のPV会場を転用しようというわけだ。

都の担当者は「代々木公園の会場は、五輪期間中は完全にワクチン接種会場になる。大型ビジョンを使ったりはしない」と説明。転用の理由については「交通の便がいい、会場が広い、PV会場として設営する大型テントやユニットハウスなどが活用できるのではないかという視点で検討された」などとした。

しかし、PV計画が消えたわけではない。担当者によると、パラリンピック期間中の代々木公園会場の使い方については、引き続き接種会場とするか、PVを実施するか、状況をみながら判断する姿勢だ。1日には設置工事も始まったが、現時点では大型ビジョンなども設置する方針という。

また「東京2020ライブサイト」計画では、井の頭公園や東北や熊本などの被災地、都として都立日比谷公園や都立上野恩賜公園などでもPVが予定されているが、それらの会場では両大会期間とも計画通り実施予定だ。

計画は、代々木公園の準備で樹木が剪定(せんてい)されこともあって注目を集めた。市民に密を避けることや不要不急の外出自粛などを求める一方で、五輪関係では人を集める場をつくることへの反発は大きく、反対するオンラインの署名活動は10万筆を超えた。