東京オリンピック(五輪)・パラリンピックの観客数をめぐり、1日、菅義偉首相と公明党の山口那津男代表から「無観客」の可能性への言及が相次いだ。

東京都では新型コロナウイルスの感染再拡大が深刻化しており、定員50%以内で最大1万人とした観客数上限の見直しや、無観客の可能性も現実味を帯びてきた。

菅氏はこの日、再拡大による緊急事態宣言発令などの場合について「無観客もあり得るということを私から明言している。国民の安全安心を最優先する中で対応する」などと強調。5者協議で決めるとした。菅氏は先月21日にも「安全安心のために無観客も辞さない」などと発言したが改めて強調した形だ。山口氏も「無観客も視野に入れた上で(政府には)機を逃さず国民に発信してもらいたい」と異例の言及をしていた。

東京都の感染状況は悪化が鮮明になった。1日も673人の感染が確認され、12日連続で前の週の同じ曜日の数を上回った。6月30日には直近7日間平均でステージ4(爆発的感染拡大)の水準に達した。まん延防止等重点措置は11日に期限を迎える。8日までにどうするか判断する方針だが、政府内では、東京など首都圏4都県については延長は不可避との見方が強まっている。官邸内からも世論をにらみ、断念を求める声も出始めた。官邸幹部は「重点措置が延長されたら、すぱっと全て無観客とすべきだ」と主張する。

政府内では重点措置延長の場合、五輪の観客数上限を見直し、適用地域の大規模イベントの上限にそろえて5000人に半減する案なども浮上。チケットの再抽選結果は6日に発表予定だが、政府は大会組織委員会と発表の延期を検討し始めた。維持か、見直しか、無観客か-首相が大きな判断を迫られている。