政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長が18日、都内の日本記者クラブで会見し、東京五輪・パラリンピックについて「無観客の開催が望ましい」と提言した。専門家26人の連名により提言書を公表した。

観客を入れた場合でも、感染者数のリバウンドや医療現場の逼迫(ひっぱく)が起きた場合は、期間中でも無観客に切り替えたり、緊急事態宣言を発出すべきとの考えを示した。

無観客にすべきとの理由として「オリパラは規模と注目度が他のスポーツイベントとは別格」として、通常のイベント開催条件よりも厳しい対策を取るべきと訴えた。また、「市民への矛盾したメッセージの発信になる恐れがある」と指摘。観客を入れて深夜まで試合が行われたり、観客が路上で飲酒をしたりする姿が見受けられれば「感染症対策に一生懸命に協力している市民に矛盾したメッセージになる。警戒心が自然と緩み、協力がなかなか得られなくなる」という間接的なリスクがあることも警戒した。

ただ政府は有観客で開催する方針を固めた。そのため観客を入れた場合の厳しい3つの措置を提言。尾身氏は「現行ルールの適用ではなく、さらに厳しい基準を採用すべき。都道府県を越えた人流を防止するため、観客は開催地の市民に限る。移動経路を含めて感染対策ができる人に観客を絞るべきだ」と訴えた。

その上で、政府や組織委に対し「リスク軽減策や、どのような場合にリスク回避するのかという基準を早急にすべきだ」と求めた。