テニスの4大大会、全仏オープン(パリ)が30日に始まる。閉幕するのが6月13日で、翌日14日に発表予定の最新世界ランキングで、東京オリンピック・テニス競技の出場権が確定する。

男女シングルスは、1カ国および地域、最大4人まで、上位56人が出場権を獲得する。5月24日の世界ランキングで、すべての選手が出場するとする。計算すると、男子は世界60位、女子は同67位が出場権ラインとなる。

日本選手は、男子が49位の錦織圭(31)、ラインにギリギリの60位、西岡良仁(25)の2人、女子は2位の大坂なおみ(23)が、5月24日の世界ランキングでは出場権圏内だ。6月14日の同ランキングは、全仏の成績が加味されるので、大幅に変動する。

女子の大坂は、1回戦負けをしても出場権は揺るがない。実は、男子でも出場権をすでに確定している選手がいる。錦織だ。錦織は全仏の成績次第で、現在の順位を落とすこともある。出場権圏外に転落する可能性もあるが心配はない。

世界ランキングには、けがや病気で長期間離脱した場合、離脱した時点のランクを保持し、復帰した時に、そのランクを大会エントリーに使える「公傷」ランクがある。男子は「プロテクト・ランキング(PR)」と呼ばれるものだ。

錦織は、右ひじのけがで1年以上、ツアーから離脱していた。新型コロナウイルスの感染拡大でツアーが中断し、世界ランキングも20年3月から8月まで凍結された。PRの適用規則も変更になっているため、ツアーを管轄するATP(プロテニス協会)に問い合わせた。

錦織のPRは世界10位。残り11大会のエントリーに使用できる。これが答えだ。東京五輪出場権にも、このPRが使用できると規則にある。もし錦織が出場権圏外の世界ランクに転落しても、PRの10位を出場権用に使用すれば、東京五輪出場は確定する。もちろん、錦織が欠場を表明しない限りという注釈がつくのは言うまでもない。

6月16日に、国際テニス連盟(ITF)から各国協会に出場権を獲得した選手が通達される。各国協会は、同22日までに出場の意向がある選手を確定し返信する。その時点で、どのぐらいの選手が出場への意向を示すかで、出場権の世界ランキングのラインは下降し、確定選手も変わってくる。【吉松忠弘】

◆全仏オープンはWOWOWで全日生放送、同時配信される。