【右投げ左打ちの功罪〈9〉】1876年から続くメジャーの歴史から 戦禍を乗り越え

右投げ、左投げ。右打ち、左打ち。4象限に分類して日米100傑を比較すると、ある時代を境に顕著な傾向が出てきました。

その他野球

★テッド・ウィリアムズの尊さ

前回は年代別に左右の打席を分類した。日本の分布を見ると、1950年代生まれ以降に右投げ左打ちが増えていることが分かった。

この現象は日本だけなのか?

メジャーの安打数と本塁打数のトップ100を、生年月日で年代別に分けてみた。

野球発祥の地だけに、さすがに歴史が長い。安打数は比較的分散してるが、本塁打数は1930年代生まれ以降、爆発的に増加している。

これは生活環境が安定し始め、栄養面やトレーニング環境面が向上。その後も栄養学、トレーニング方法などが飛躍的に発達し、パワー野球に拍車がかかったことを示している。

付け加えるのなら野球人口の増加に伴い、身体能力の優れたアスリートがメジャーリーガーになったことも挙げられるだろう。

1956年10月、日米野球で来日したブルックリン・ドジャースのジャッキー・ロビンソン

1956年10月、日米野球で来日したブルックリン・ドジャースのジャッキー・ロビンソン

黒人初のメジャーリーガーのジャッキー・ロビンソンは1919年生まれで、メジャーデビューは1947年。ハンク・アーロンは1934年生まれで、現在でも本塁打数755本は歴代2位で、安打数は3771本で歴代3位。

本塁打数で歴代トップに君臨するバリー・ボンズは、薬物使用の疑いがあるものの1964年生まれ。スポーツで一獲千金を狙う選手が台頭し、選手全体のレベルアップにつながったとみていい。

74年11月、日米野球・全日本対メッツのホームラン競争で、豪快なバッティングを披露するハンク・アーロン

74年11月、日米野球・全日本対メッツのホームラン競争で、豪快なバッティングを披露するハンク・アーロン

やや数字に偏りが見られるのは、安打数で1910年代生まれ(1人)と1920年代生まれ(3人)の20年間が、谷間のように少ない。

これは第2次世界大戦(1939年~1945年)と朝鮮戦争(1950年~1953年)が影響している。

プロを中心とした野球報道が専門。取材歴は30年を超える。現在は主に評論家と向き合う遊軍。
投球や打撃のフォームを分析する企画「解体新書」の構成担当を務める。