イマドキの気質に悩んだ宮本慎也氏しみじみ「あの●●が…本当にうれしい」/〈13〉

ゴールデングラブ賞10度の元ヤクルト宮本慎也氏(52=日刊スポーツ評論家)が、ベテラン小島信行記者との掛け合いで展開する連載「宮本慎也 もっと野球を語ろう」。新年第1回の後編は、カブス鈴木誠也外野手(29)との意外な会話から、〝厳しい宮本〟と〝ドライな宮本〟で揺れる指導論へとトークが進みます。近年急成長したヤクルトの後輩選手とは…、大リーガーや好打者が感じている一番大事な要素とは…。

プロ野球

◆宮本慎也(みやもと・しんや)1970年(昭45)11月5日、大阪府吹田市生まれ。PL学園では2年夏に甲子園優勝。同大―プリンスホテルを経て、94年ドラフト2位でヤクルト入団。ベストナイン1度、ゴールデングラブ賞10度。通算2162試合、2133安打、62本塁打、578打点、打率2割8分2厘。引退後は18、19年にヤクルト1軍ヘッドコーチ。04年アテネ五輪、06年WBC、08年北京五輪代表。現役時代は176センチ、82キロ。右投げ右打ち。


◆小島信行(おじま・のぶゆき)プロを中心とした野球報道が専門。取材歴は30年を超える。現在は主に評論家と向き合う遊軍。投球や打撃のフォームを分析する企画「解体新書」の構成担当を務める。

「メジャーは強制練習ってあるの?」

小島鈴木誠也選手とは何の話をしたんですか? 具体的に教えてください。

宮本単純なんだけど「メジャーは強制練習ってあるの?」と聞いたら「バリバリあります」って言ってた。

メジャーで実績がある選手は、ある程度個人に任されているらしいけど、マイナーから上がってくる選手はメチャクチャ強制練習させられるって。日本よりすごいらしいよ。

小島それは意外ですね。

宮本日本は自主性を重んじるような流れが主流になってきてる。でもいつの時代でも〝サボり魔〟はいるでしょ。

そういう選手の中で、強制的にやらされてレギュラーになった選手もいる。後になって「あの時、無理やりやらされてよかった」っていう選手は結構いる。

小島和田さん(現中日打撃コーチ)は、そう言ってました。「若い時に無理やりきつい練習をやらされてなかったら、今の自分はない」って。

宮本ベンちゃん(和田コーチの愛称)はマイペースだからなぁ(笑い)。ヤクルトでコーチをやってた時には、ベンちゃんのように「いつか分かってくれる」と思って厳しくやってた。

コーチ1年目は2位でよかったけど、2年目は最下位。やっぱり成績が悪いと、批判されるようになった。

小島それで〝厳しい宮本〟は卒業したんですね?

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プロを中心とした野球報道が専門。取材歴は30年を超える。現在は主に評論家と向き合う遊軍。
投球や打撃のフォームを分析する企画「解体新書」の構成担当を務める。