【宮本慎也】ソフト山川に開き直りのススメ…同じ興行でもエンタメとは別物/〈21〉

ゴールデングラブ賞10度の元ヤクルト宮本慎也氏(53=日刊スポーツ評論家)が、ベテラン小島信行記者との掛け合いで展開する連載「宮本慎也 もっと野球を語ろう」。セ・パともに各球団の対戦が一回りし、ここまでの戦いを分析します。前後編の後編です(取材日は4月15日)。

プロ野球

◆宮本慎也(みやもと・しんや)1970年(昭45)11月5日、大阪府吹田市生まれ。PL学園では2年夏に甲子園優勝。同大―プリンスホテルを経て、94年ドラフト2位でヤクルト入団。ベストナイン1度、ゴールデングラブ賞10度。通算2162試合、2133安打、62本塁打、578打点、打率2割8分2厘。引退後は18、19年にヤクルト1軍ヘッドコーチ。04年アテネ五輪、06年WBC、08年北京五輪代表。現役時代は176センチ、82キロ。右投げ右打ち。


◆小島信行(おじま・のぶゆき)プロを中心とした野球報道が専門。取材歴は30年を超える。現在は主に評論家と向き合う遊軍。投球や打撃のフォームを分析する企画「解体新書」の構成担当を務める。

「3冠王に打撃なんて」

小島ヤクルトはどうでしょう。頼みの村上が15試合でホームラン1本ですよ。少しベースから離れて立ちすぎていないですか?

宮本レベルの高いバッターは、ちょっと打てないだけで騒がれちゃうから大変だなぁ。

離れているのはインコースが気になっているんだろうね。もともと外の球を引っ張ろうとすると、バットが外から入って打球が上がらない。

今季はキャンプでもバットのヘッドが返らないように気をつけているとは言っていた。それでクローズスタンスになりすぎて、踏み込みすぎないように練習していたと思う。

小島教えてあげればいいじゃないですか?

宮本こちらから気になったことを聞くことはあっても、チームの打撃コーチだっているし、3冠王に打撃なんて教えられないよ。プロの世界って、実績のある選手にはあんまり指導なんてしないよ。

小島宮本さんの打撃理論って、とにかくバットが内側から出るように指導しますよね。それでは今の村上の打撃を解説してくれませんか?

宮本もっとバットを縦に使う感じがあると、インコースも裁けると思う。

小島球界OBが毛嫌いする「縦振り」ですね? よくYouTubeとかでボロクソ言ったり、否定的に話しますよね。

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プロを中心とした野球報道が専門。取材歴は30年を超える。現在は主に評論家と向き合う遊軍。
投球や打撃のフォームを分析する企画「解体新書」の構成担当を務める。