【宮本慎也】ピンチの外国人投手に「甘いボールに気をつけろ」なんて言う?/〈18〉

ゴールデングラブ賞10度の元ヤクルト宮本慎也氏(53=日刊スポーツ評論家)が、ベテラン小島信行記者との掛け合いで展開する連載「宮本慎也 もっと野球を語ろう」。ドジャース大谷翔平投手(29)とパドレスのダルビッシュ有投手(37)が初対戦したメジャー開幕戦や、山本由伸投手(25)の状態を分析しながら、トークは球界の英会話事情へと続いていきます。

MLB

◆宮本慎也(みやもと・しんや)1970年(昭45)11月5日、大阪府吹田市生まれ。PL学園では2年夏に甲子園優勝。同大―プリンスホテルを経て、94年ドラフト2位でヤクルト入団。ベストナイン1度、ゴールデングラブ賞10度。通算2162試合、2133安打、62本塁打、578打点、打率2割8分2厘。引退後は18、19年にヤクルト1軍ヘッドコーチ。04年アテネ五輪、06年WBC、08年北京五輪代表。現役時代は176センチ、82キロ。右投げ右打ち。


◆小島信行(おじま・のぶゆき)プロを中心とした野球報道が専門。取材歴は30年を超える。現在は主に評論家と向き合う遊軍。投球や打撃のフォームを分析する企画「解体新書」の構成担当を務める。

「開幕直後なんか」

小島少し日にちがたっていますが、日本の開幕を前にメジャーが韓国で開幕しましたね。率直な感想はどうでした?

宮本やっぱり、打つのも投げるのも迫力あるね。ひと昔前は開幕直後なんか、メジャーの選手は仕上がり途中とか言われていた。本当に良くなるのは夏場を過ぎてからとか。

でもそんな感じがしなかった。WBCで早く仕上げたり、オフの練習なんかも動作解析とかしている選手は多い。フォームをチェックしているから、仕上がりは早くなる傾向があるのかもね。

小島私は上原浩治さんがオリオールズに移籍した2009年、キャンプから開幕の1カ月ぐらいまで取材に行っていました。

その年、ヤンキースにサバシアが移籍して注目されてて、ちょうどオリオールズ戦に先発したんです。

そのときは「これがメジャーNO・1左腕なのか?」って投球だった。でも帰国後、ポストシーズンで投げているところを見たら、まるで別人。こんなに違うのかって、ビックリしたのを覚えてます。

宮本ドジャースの開幕投手だったグラスノーなんか、すごい球を投げてたもんな。2戦目は乱打戦になったけど、バッターも仕上がっているように見えた。まだ実戦慣れはしてないのに、あんなスイングするんだからね。

小島プレー以外でいうと、ダルビッシュと松井がそれぞれピッチクロックに引っ掛かってしまいましたが?

宮本2人とも日本人投手だもんな。でも開幕戦だから仕方ないよ。松井は日本にいたときから投げるのが遅かったし、やっちゃったな、って感じしたけど。

小島日本では「ピッチクロックは面白くない」という声も聞きました。どうなんでしょう?

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プロを中心とした野球報道が専門。取材歴は30年を超える。現在は主に評論家と向き合う遊軍。
投球や打撃のフォームを分析する企画「解体新書」の構成担当を務める。