【残留にもドラマあり】DeNA石田健大&戸柱恭孝の場合 4年契約を結び直すまでに

昨年12月、DeNA石田健大投手(30)は、国内FA権を行使した末に残留を決めました。熟考を重ね、FA申請期限最終日に書類を提出。ヤクルトから4年総額4億円以上のオファーが届きましたが、悩み抜いた末に〝横浜愛〟で残留しました。決断の裏側、そばで支えてくれた妻から掛けられた言葉とは。また昨年11月には、DeNA戸柱恭孝捕手(33)が、取得した国内FA権を行使せず、4年の複数年契約で残留を決断しました。去就が注目された一方で、人知れず苦悩し、涙した姿が公になることはありませんでした。涙の裏側とともに、思いに迫りました。ベイスターズのバッテリー、それぞれの節目を振り返ります。

プロ野球

◆石田健大(いしだ・けんた)1993年(平5)3月1日、広島市生まれ。広島工では1年夏からベンチ入りし、2年秋からエース。3年春の広島県大会は2回戦でノーヒットノーランを達成した。3年春の中国大会優勝も、甲子園出場はなし。法大では東京6大学リーグ通算19勝16敗。14年ドラフト2位でDeNA入団。昨季は23試合の登板で4勝9敗、防御率3・97。通算239試合で、37勝43敗、防御率3・47。昨季は5年ぶり3度目の開幕投手を務めた。180センチ、85キロ。左投げ左打ち。23年12月に総額4億円規模の4年契約で更改した。

◆戸柱恭孝(とばしら・やすたか)1990年(平2)4月11日、鹿児島県生まれ。鹿屋中央高では甲子園出場なし。駒大では3年春から正捕手。NTT西日本を経て、15年ドラフト4位でDeNA入団。ルーキーだった16年には124試合に出場した。昨季は70試合の出場。プロ通算600試合で、打率2割2分3厘、30本塁打、159打点。179センチ、90キロ。右投げ左打ち。23年12月に3500万円増となる年俸7500万円で4年契約を結んだ。

「死に物狂いで」

【石田の場合】石田は妻の言葉を聞き、闘争心に火が付いた。国内FA権を行使し、悩みに悩んだ末にDeNAに残留することを決断。家族会議で妻に自らの意思を伝えた直後、掛けられた言葉が胸に刺さった。

「ハングリー精神を持ってやらないとね」

FA宣言する時も、残留を決断する時も、妻は寄り添いながら「あなたが決断した道が正解だから」と意思を尊重し、一番の理解者でいてくれた。いつもそばで話を聞き、一緒に悩んだ妻の言葉は重く、ストレートに響いた。

「本当にその通りだなと思ったし、勝負することに変わりはないので、新たな気持ちで死に物狂いでやってやろうと」

DeNA、獲得に名乗りを上げたヤクルトとも複数回交渉した。両球団からは4年総額4億円以上の複数年契約を提示され、年俸だけを見ればヤクルトの条件が上だったとみられるが、熟考した末に〝横浜愛〟で残留を決めた。

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兵庫県出身。報徳学園、関大を経て、2007年に日刊スポーツに入社。
野球部に配属され、同年12月までアマチュア野球担当、 2008年から11年まで1期目の巨人担当、2012~13年まで西武担当(2013年はWBC担当)、2014~16年まで2期目の巨人担当、 2017~18年までアマチュア野球担当、2019~20年まで3期目の巨人担当、2021年は遊軍、2022年からDeNA担当。
身長169・5センチ、体重58~63キロをいったりきたり。