大島光翔と山下真瑚、2人の主将が見た最後のインカレ

1月7日まで行われた日本学生氷上競技選手権(インカレ)は、フィギュアスケート男子7・8級団体は明治大が、女子7・8級団体は中京大が優勝しました。明大の大島光翔(4年)と中京大の山下真瑚(4年)。2人のキャプテンの視点から、最後のインカレを描きました。

フィギュア

<フィギュアスケート:日本学生氷上競技選手権>◇6、7日◇山梨・小瀬スポーツ公園アイスアリーナ◇男女7・8級

ポジティブで底抜けに明るい主将

「フォー!!!」

小瀬スポーツ公園アイスアリーナに、絶叫に近い声援がこだまする。

声の主は、明治大スケート部主将の大島光翔。リンクサイドで身を乗り出しながら、フリーに臨む後輩、佐藤駿(3年)の一挙一動を食い入るように見つめていた。

インカレで佐藤駿の応援うちわを手にする大島光翔(左)(撮影・勝部晃多)

インカレで佐藤駿の応援うちわを手にする大島光翔(左)(撮影・勝部晃多)

1つのエレメンツが終わるたびに、声のボリュームはより一段と上がっていく。その一体感は観客をも巻き込み、会場は一気に温かい空気に包み込まれた。

「頼む!」「頼む!」

最終盤。ボルテージは最高潮に達した。

「ラストー! もってくれー」

極限の集中状態にあったリンクの上の佐藤にも、主将からの声は確かに届いていた。

最後の3回転ルッツで回りすぎて転倒すると、「うおおー!? がんばれ!」と響き渡るエール。普段演技中に感情を表に出すことのない佐藤から、思わずニヤッと笑みがこぼれた。

「本番でも笑っちゃったんですけど…彼の声はホントに強烈です(笑い)。試合に集中していても、『頑張れ!』って声が聞こえるぐらい。光翔たちの応援のおかげで、最後まですごく楽しく笑顔で滑ることができました」

フリーを演じる佐藤(撮影・勝部晃多)

フリーを演じる佐藤(撮影・勝部晃多)

約半月前の全日本選手権ではジャンプのミスが相次いでまさかの総合7位で意気消沈していた佐藤が、「次の試合に向けて全日本の悔しい思いが払拭(ふっしょく)できるような、そんな試合になったかな」と、声を弾ませて振り返ったインカレ。2年ぶりに大学王座に返り咲いたエースに「滑ることの楽しさ」を思い出させたのは、キャプテンからの魂の大声援だった。

リンクでも、リンク外でもその人柄は変わらない。人々を楽しませるエンターテインメント性を信条とする大島は、「声」の理由をこう明かす。

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スポーツ

勝部晃多Kota Katsube

Shimane

島根県松江市生まれ。2021年4月入社。高校野球の神奈川担当などを経て、同年10月からスポーツ部に配属。バトル班として新日本プロレスやRIZINなどを担当し、故アントニオ猪木さんへの単独インタビューや武藤敬司氏の引退試合、那須川天心―武尊などを取材した。 23年2月から五輪班に移り、夏季競技はバレーボールを中心に担当。同年秋のW杯や24年夏のVNLなど。冬季競技はフィギュアスケートをメインに務め、全日本選手権は2年連続で取材中。X(旧ツイッター)のアカウントは「@kotakatsube」。