友達で、先生で…「報われた」青木祐奈の優勝に欠かせなかった24歳コーチの支え

フィギュアスケートの4大陸選手権で、女子は青木祐奈(24=MFアカデミー)が主要国際大会初の表彰台となる金メダルを獲得しました。同じMFアカデミーを拠点とする中井亜美(17=TOKIOインカラミ)も2位となりました。

華やかな結果の裏で、選手たちを静かに支えていた存在がいます。大会後の取材で、メダリスト2人の口から共通して挙がったのは、若きコーチ竹野仁奈(24)の名前でした。現役引退から間もなく指導の道に入り、年齢の近さと競技者としての経験を生かして、選手たちに寄り添ってきました。今回は、表彰台の裏側で紡がれていた「支える力」に焦点を当て、竹野コーチと教え子たちの関係性をたどります。(本文敬称略)

フィギュア

4大陸選手権の開会式(撮影・勝部晃多)

4大陸選手権の開会式(撮影・勝部晃多)

心のよりどころ

日本勢が表彰台を独占した。1999年から行われている同選手権で、22年以来4度目の快挙。その頂点である1位、2位に名を連ねたのは、ともに千葉・MFアカデミーを拠点に練習を重ねてきた2人だった。

国際スケート連盟(ISU)チャンピオンシップスでのメダル獲得。それは、今季からシニアデビューしたばかりの中井はもちろんのこと、同じく4大陸選手権に初出場した青木にとっても、特別な意味を持つ出来事だった。

中でも青木は、ショートプログラム(SP)、フリー、合計ともに自己ベストを大幅に更新。24歳での初制覇は日本人最年長記録という〝おまけ〟までついた。合計得点217・39点は、坂本花織、中井、アリサ・リュウ(米国)らビッグネームに次ぐ今季世界5位の高得点だった。

青木本当に「信じられない」の一言です。本当に夢みたい。自分は自分の演技をすることしか考えていなかったので、本当に結果がこのようについてきて、今驚きと幸せでいっぱいです。

優勝が決まったリーダーズチェアでは、興奮とともにこみ上げる涙に顔を覆った。最終滑走を終えた中井が「おめでとう~」と声を上げ、跳ねるように駆け寄る。抱き合う2人。その光景は今大会を象徴する名場面となり、MFアカデミーの底力を世界に証明した瞬間になった。

そのMFアカデミーでヘッドコーチを務める中庭健介の功績については、日刊スポーツ・プレミアムでも幾度となく伝えてきた。だが今回は、2人の躍進を支えたもう〝もう1人〟の存在に光を当てたい。

練習で中井亜美(中央)にスマートフォンの画面を見せる竹野仁奈コーチ(左)と中庭健介コーチ(撮影・勝部晃多)

練習で中井亜美(中央)にスマートフォンの画面を見せる竹野仁奈コーチ(左)と中庭健介コーチ(撮影・勝部晃多)

大会から一夜明けた現地メディア限定の取材で、メダリスト2人の口から共通して挙がった名前があった。それが、24歳の竹野仁奈だった。練習で壁にぶつかった時、どう乗り越えているのか。その問いに、ミラノ・コルティナ五輪代表の中井は間髪入れずに答えた。

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スポーツ

勝部晃多Kota Katsube

Shimane

島根県松江市生まれ。2021年4月入社。高校野球の神奈川担当などを経て、同年10月からスポーツ部に配属。バトル班として新日本プロレスやRIZINなどを担当し、故アントニオ猪木さんへの単独インタビューや武藤敬司氏の引退試合、那須川天心―武尊などを取材した。 23年2月から五輪班に移り、夏季競技はバレーボールを中心に担当。同年秋のW杯や24年夏のVNLなど。冬季競技はフィギュアスケートをメインに務め、全日本選手権は2年連続で取材中。X(旧ツイッター)のアカウントは「@kotakatsube」。