鍵山優真、心の変化と成長 担当記者が取材エリアの言動に見たものとは

2022年北京オリンピック(五輪)銀メダルの鍵山優真(22=オリエンタルバイオ/中京大)が、グランプリ(GP)シリーズ第4戦NHK杯で日本男子史上初となる3連覇を達成しました。合計287・24点。GP通算7勝目を挙げ、シリーズ上位6人による12月のファイナル(名古屋)進出にも大きく前進しました。

担当記者がここ数カ月で鍵山の言動に感じた変化を「Ice Story」としてお届けします。

フィギュア

<フィギュアスケート:グランプリ(GP)シリーズ第4戦NHK杯>◇11月7~8日◇大阪・東和薬品RACTABドーム




NHK杯エキシビション ベストパフォーマンス賞を受賞した坂本花織(右端)を笑顔で見つめる(同2人目)

NHK杯エキシビション ベストパフォーマンス賞を受賞した坂本花織(右端)を笑顔で見つめる(同2人目)


思い返せば同じような場面が


フリーから一夜明けた9日。エキシビションの前に、現地メディア向けに日本人代表全選手を対象とした囲み取材が組まれた。

運営からアナウンスされたスケジュールは、1選手あたりテレビ、ペン(新聞と雑誌)メディア各5分ずつ。

練習と本番の合間を縫って応じてくれる選手たちには頭が下がる思いだが、囲み取材の「5分」とは本当にあっという間だ。数問程度の質問で切り上げざるを得ないケースも、珍しくはない。

各社の記者たちも、掘り下げたいトピックを何としても聞こうと躍起になる。選手の発言が途切れそうな気配を口元の動きから見計らい、われ先にと次の質問を投げかける準備をしている。

当然、今大会で日本人男子史上初の3連覇を達成した鍵山には、その熱気が特に集中した。

今回も、私を含む3人が質問したところで、タイムリミットが告げられた。

「はい、これで質問は以上になります」

運営スタッフの声。と、同時に、1人の記者の質問が重なった。

これも、囲み取材の現場ではおなじみの光景だ。

大抵の場合、選手は申し訳なさそうに取材エリアを後にする。この時も、その記者は肩を落とし、諦めモードに入ろうとしていた。

だが、ここで動いたのは鍵山本人だった。


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スポーツ

勝部晃多Kota Katsube

Shimane

島根県松江市生まれ。2021年4月入社。高校野球の神奈川担当などを経て、同年10月からスポーツ部に配属。バトル班として新日本プロレスやRIZINなどを担当し、故アントニオ猪木さんへの単独インタビューや武藤敬司氏の引退試合、那須川天心―武尊などを取材した。 23年2月から五輪班に移り、夏季競技はバレーボールを中心に担当。同年秋のW杯や24年夏のVNLなど。冬季競技はフィギュアスケートをメインに務め、全日本選手権は2年連続で取材中。X(旧ツイッター)のアカウントは「@kotakatsube」。