【イチロー大相撲〈11〉】なぜ相撲列車は廃止になったのか? 木村銀治郎に聞いた

大相撲春場所(エディオンアリーナ大阪)の新番付は2月26日に発表される。例年なら番付発表の前日に、力士たちが「相撲列車」に乗って大阪入りするが、今場所から廃止となった。なぜ、相撲列車はなくなったのか? 「大相撲と鉄道」の著書がある幕内格行司の木村銀治郎(49=芝田山)に聞いた。

大相撲

春場所に向けて新幹線で大阪に到着した力士たち(2019年2月24日撮影)

春場所に向けて新幹線で大阪に到着した力士たち(2019年2月24日撮影)

過密ダイヤとの闘い

大相撲の本場所は、1、3、5、7、9、11月に行われる。1、5、9月は東京、3月は大阪、7月は名古屋、11月は福岡が開催地になる。

相撲列車はびん付け油の香りとともに、大阪に春を、名古屋に夏を、九州に年の瀬が近くなったことを知らせる「風物詩」でもあった。

なぜ、地方場所を行き来する相撲列車はなくなったのか? 切符などの手配は、行司の「輸送係」が請け負う。かつて輸送係を務め、事情に詳しい銀治郎は、主に2つの要因を挙げた。

銀治郎 「去年、福岡に行った時に『これが最後』という話をチラチラ聞きました。1つの文化が終わりを迎えるわけですが、やむを得ない面もあります。

一番の闘いは、過密ダイヤなんです。名古屋からの帰りがポイントです」

大行司駅で記念撮影する木村銀治郎

大行司駅で記念撮影する木村銀治郎

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スポーツ

佐々木一郎Ichiro Sasaki

Chiba

1996年入社。2023年11月から、日刊スポーツ・プレミアムの3代目編集長。これまでオリンピック、サッカー、大相撲などの取材を担当してきました。 X(旧ツイッター)のアカウント@ichiro_SUMOで、大相撲情報を発信中。著書に「稽古場物語」「関取になれなかった男たち」(いずれもベースボール・マガジン社)があります。