【イチロー大相撲〈21〉】追手風部屋力士に付く「大」「翔」→由来は大河ドラマだった

大栄翔、翔猿…。追手風部屋の力士のしこ名には、「大」や「翔」が付く。

師匠の追手風親方が、現役時代「大翔山(だいしょうやま)」を名乗っていたことが由来だ。

なぜこれほどまでに「大」「翔」にこだわるのか。そもそも「大翔山」は誰が名付けたのか。名付け親は、なぜ「大翔山」としたのか。調べてみると、意外な事実が見えてきた。

大相撲

「もうないです」

3月の春場所の番付順に、追手風部屋力士のしこ名を挙げてみる。

大栄翔、翔猿、剣翔、遠藤、大奄美、大翔鵬、大翔丸、日翔志、大喜翔、大飛翔、大翔樹、大翔宗、大翔成、大雄翔、大翔碧、薩摩翔、大翔、大馬翔、大国巌、大典翔、斧澤。新弟子2人が入門しており、大志翔と大皇翔が新序出世を果たした。

23人中、21人は「大」か「翔」が付く。相撲ファンにはすっかりおなじみだ。サムネイルは、これまで追手風部屋に在籍した主な力士のしこ名だが、「大」や「翔」がとにかく多い(ジャンルは異なるが、大谷翔平も「大」「翔」が付く)。

追手風親方に事情を聴いた。

安彦改め剣翔(左)と追手風親方(2015年11月25日撮影)

安彦改め剣翔(左)と追手風親方(2015年11月25日撮影)

――弟子に「大翔」を付ける理由は何ですか

追手風親方 (部屋の)カラーは出した方がいいと思って。なんなら(力士が)自分でつけてもいい。「翔」は、ほかの部屋でも使うようになってきましたね。大翔をつけていたら、だんだんなくなってくる。そうすると、ゴロのいいやつとか、意味を考えたりとか…。兄弟なら雄と飛。雄飛は出世するという意味があるから使った(大雄翔と大飛翔)。

――大翔が付くしこ名の候補はまだありますか

追手風親方 もうないです。

新十両昇進を果たした大栄翔と追手風親方(2014年5月28日撮影)

新十両昇進を果たした大栄翔と追手風親方(2014年5月28日撮影)

――しこ名を付けるタイミングはどう考えていますか

追手風親方 入った時に付けるようにしています。お相撲さんらしく。

――自分でしこ名をつけた力士は、翔猿のほかにいますか

追手風親方 剣翔もそう。(当初はなじまなくても)強くなると、そう見えてくる。舞の海もそう、智乃花もそう。名前が良くなるかどうかは自分次第だから。

――「大翔山」を誰かに継がせる予定はありますか

本文残り67% (1513文字/2250文字)

スポーツ

佐々木一郎Ichiro Sasaki

Chiba

1996年入社。2023年11月から、日刊スポーツ・プレミアムの3代目編集長。これまでオリンピック、サッカー、大相撲などの取材を担当してきました。 X(旧ツイッター)のアカウント@ichiro_SUMOで、大相撲情報を発信中。著書に「稽古場物語」「関取になれなかった男たち」(いずれもベースボール・マガジン社)があります。