【イチロー大相撲〈10〉】尊富士の意外な「苦手」を錦富士が明かした?!

2024年春場所、尊富士(たけるふじ、24=伊勢ケ濱)が初優勝を果たしました。新入幕力士の優勝は110年ぶりでした。

初土俵から所要10場所での優勝は史上最速です。

初場所が終わった後の2月4日、栃ノ心引退相撲の支度部屋で話を聞きました。場所休みも多忙だったはずですが、少しの疲れも見せていなかったのは、春場所でのタフさをみれば納得です。

話を聞いていると、錦富士(27)が絡んできました。兄弟子からかわいがられていることも、幕内優勝ですっかり知られるようになりました。錦富士は、尊富士が付け人を務めていた時の知られざるエピソードを教えてくれました。

大相撲

スピード出世

2月は巡業がなく、花相撲が多い。栃ノ心の引退相撲、NHK福祉大相撲などなど。本場所とは支度部屋の雰囲気が違う。

本場所中、支度部屋へのスマートフォンの持ち込みは禁止だが、花相撲ではOK。支度部屋でスマホをいじったり、関取同士でおしゃべりしたり、ゆったりした空気が流れる。

取組前の取材も、力士の了承を得られればできる。本場所の緊張から解かれ、どの関取も穏やかな顔になっている。

栃ノ心引退相撲が行われた2月4日、東の支度部屋で尊富士に話をうかがった。

初場所は新入幕の大の里が話題になったが、新十両の尊富士も期待通りの活躍をみせた。

初土俵から1年半。所要8場所で新十両となり、まだ大銀杏は結えないスピード出世。初日から9連勝しただけでなく、相撲内容も圧倒的。14日目に十両優勝を決め、照ノ富士の優勝パレードでは旗手を務めた。

優勝パレードで笑顔を見せる照ノ富士(右)と旗手の尊富士

優勝パレードで笑顔を見せる照ノ富士(右)と旗手の尊富士

本場所後は、地元青森に里帰りするなど、大忙しの毎日だ。

――初場所後は、五所川原市役所や、育った道場へ挨拶回りしました

尊富士 喜んでもらえたようで、よかったです。

――休めてますか

尊富士 休みましたよ。朝も寝てきましたし。

――優勝パレードでの旗手はいつごろから言われていましたか

尊富士 優勝したらって話は最初からしていました。自分もあの光景を見て、自分の手でつかんで見られるように頑張ろうと思いました。

――照ノ富士関の尊敬できるところはどういうところですか

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スポーツ

佐々木一郎Ichiro Sasaki

Chiba

1996年入社。2023年11月から、日刊スポーツ・プレミアムの3代目編集長。これまでオリンピック、サッカー、大相撲などの取材を担当してきました。 X(旧ツイッター)のアカウント@ichiro_SUMOで、大相撲情報を発信中。著書に「稽古場物語」「関取になれなかった男たち」(いずれもベースボール・マガジン社)があります。