【王鵬の思考】「頑張りたいから頑張っているだけ」そこに理由は必要ない 

王鵬の考え方は、少し独特です。物の見方を自分なりに考えているからこそ、予定調和な受け答えはあまり好みません。

1月19日は、祖父の横綱大鵬の命日です。毎年、初場所中に、この日はやってきます。王鵬は、命日だから勝ちたいとは決して言いません。どういうことでしょうか。

王鵬の思考に触れてみてください。

大相撲

新関脇昇進披露パーティーに臨む前に、これまでに贈呈された9本の化粧まわしを背に記念撮影した王鵬(2025年4月29日撮影)

新関脇昇進披露パーティーに臨む前に、これまでに贈呈された9本の化粧まわしを背に記念撮影した王鵬(2025年4月29日撮影)

「正しい努力」とは

ちょうど1年前にも、王鵬にロングインタビューをお願いした。色紙に言葉を添えて欲しいと伝えると、「正しい努力」と書いた。

前回はその意味について、説明してくれた。自分で考え、正しい道を進む。正しいと思えないと、効果は出にくい―。強くなるための、適切な心構えに思えた。あれから約1年がたった。

―この考えは、今も変わりませんか

「そうですね」

王鵬は2年連続で、サインの横に「正しい努力」と書いた

王鵬は2年連続で、サインの横に「正しい努力」と書いた

―1年を振り返って、意識しながら過ごしてきましたか

「しっかり頭で考えてやってこれたとは思ってます」

―具体的に言うと、どういったところが

「僕は頑張ることが当たり前だと思ってるんで…。どんなことが努力でしたかって言われると、すごい難しいんですけど、しっかり頭で考えながら、稽古とかもしっかりできてたんじゃないかなと思ってます」

―実際に成果は出てますね

「ムラというか、波はある方なんで、常にピークってのはちょっと難しかったんですけど、後退せず、しっかり実力つけてこれたんじゃないかなとは思います」

春場所で新関脇に昇進した王鵬はしこ名が載った番付を指さす(2025年2月25日撮影)

春場所で新関脇に昇進した王鵬はしこ名が載った番付を指さす(2025年2月25日撮影)

2025年は初場所で12勝3敗とし、敗れたものの優勝決定戦に進んだ。初の三賞となる技能賞を受賞した。春場所は初の三役となる関脇に昇進。夏場所、名古屋場所は連続で金星を挙げた。秋場所は2桁勝利を挙げ、九州場所で関脇に復帰した。

王鵬の2025年成績


場所番付成績備考
初場所西前頭3枚目12勝3敗優勝同点、技能賞
春場所西関脇6勝9敗
夏場所西前頭筆頭7勝8敗金星
名古屋場所東前頭2枚目7勝8敗金星
秋場所西前頭2枚目10勝5敗
九州場所西関脇7勝8敗
初場所東小結

2横綱1大関が誕生した年だったため、やや目立ちにくいが、着実な成長は番付にも表れた。

その下支えの1つが、自分をしっかり持っていることなのかもしれない。

1966年九州場所、大鵬の土俵入り

1966年九州場所、大鵬の土俵入り

例えば、節目の日の気持ちの持ち方。大鵬の命日1月19日は、毎年初場所中に訪れる。常に勝利を目指している王鵬にとっては、毎日が特別。命日だからといって、とりわけ頑張るわけではない。もちろん、尊敬する祖父であることに変わりはない。

「命日だからとか、誕生日だからどうしても勝ちたかったですとか言うと、書く人も書きやすいし、見る人も見やすいですけど、僕は多分、それを言いません」

―どういう考えですか

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スポーツ

佐々木一郎Ichiro Sasaki

Chiba

1996年入社。特別編集委員室所属。これまでオリンピック、サッカー、大相撲などの取材を担当してきました。X(旧ツイッター)のアカウント@ichiro_SUMOで大相撲情報を発信中。著書に「稽古場物語」「関取になれなかった男たち」(いずれもベースボール・マガジン社)があります。