今回は【練習にお邪魔します編】です。日ごろ、選手はどんな練習をするの!? そんな疑問に答えるべく、13日午前に大宮競輪場をウオッチング。埼玉のエース平原康多に続けと、明日のスターを夢見る選手の姿を追いかけました。

バンク練習に集まった選手とアマチュア。前列左から川路遥香、飯田風音、後列左から新井美菜、白岩大助、藤田まりあ、加藤舞(撮影・河田真司)
バンク練習に集まった選手とアマチュア。前列左から川路遥香、飯田風音、後列左から新井美菜、白岩大助、藤田まりあ、加藤舞(撮影・河田真司)

大宮競輪場の朝は早い。午前7時から、選手やアマチュアが続々やってくる。選手会の埼玉支部長を務める白岩大助(84期=S級2班)もその1人。レーサーを降ろして整備しながら「今日は20人ぐらい集まるかな。多いと30人以上ですね」と話した。

アップを目的にした周回練習。このときは手前が4人、奥は5人の隊列だった(撮影・野島成浩)
アップを目的にした周回練習。このときは手前が4人、奥は5人の隊列だった(撮影・野島成浩)

準備が整った選手から次々とバンクに出ていく。ほどなく、いくつか隊列ができた。4人、5人、多い列は8人、9人以上。許可を得てバンク内で撮影するカメラマンと記者には、タイヤがこすれる「キュッ、キュッ」「シャーッ」「ジャッジャッ」という音がはっきりと聞こえる。バックストレートでそれぞれの隊列から「あと24回」とか「あと15回」と声が響き、ホームでは先頭を走った選手が最後尾まで下がる。白岩は「あれは周回という練習メニューです。あと何回は、残り何周走るかの数。声を出すのはその隊列で若い子が担当します。大宮は1周500メートル。20周ぐらい走ってウオーミングアップにします」と説明した。

「もがき」と呼ばれるダッシュ練習。4角の上部から直線へ向かって山おろしのような形で踏み込んでいく(撮影・野島成浩)
「もがき」と呼ばれるダッシュ練習。4角の上部から直線へ向かって山おろしのような形で踏み込んでいく(撮影・野島成浩)

隊列は師弟関係や、気心が知れた練習グループごとにできているようだ。グループごとにどんどん次のメニューに移る。コーナーの上部から直線へ山おろしの形でダッシュする「もがき」は実戦さながらで迫力満点。あるグループは、1度レーサーを降りてメニューの打ち合わせ。「誰が前にいて、カマしてきた誰に飛び付くか」。別のグループは発走機を用意して「外枠からSを取ることを想定」など…。乗り込むうちに正午近くになった。

太田真一(右)が伴走しながら新井美菜を教え込む(撮影・野島成浩)
太田真一(右)が伴走しながら新井美菜を教え込む(撮影・野島成浩)

選手はトレーニング室で休憩しながら、次の練習の打ち合わせや情報交換をする。わいわい、がやがや。ベテランと若手、グループを問わずにぎやか。部屋の外では太田真一がガールズにセッティングを指南。白岩は「今、すごく活気があるんですよ。昨年6月からバンク練習の決まりが変わって、みんなが午前中に集まる。人数が多く、実戦を想定した練習ができる。森田優弥や黒沢征治、植原琢也。S級の強い若手と乗り込んだり、いい刺激を受ける」と声が弾む。

女子5人による練習。2角の上部から直線に向かってスピードを上げていく(撮影・野島成浩)
女子5人による練習。2角の上部から直線に向かってスピードを上げていく(撮影・野島成浩)
女子5人があえて3角の金網すれすれを走っていく(撮影・野島成浩)
女子5人があえて3角の金網すれすれを走っていく(撮影・野島成浩)
細沼健治に藤田まりあ、加藤舞が順に続いて周回練習をする(撮影・河田真司)
細沼健治に藤田まりあ、加藤舞が順に続いて周回練習をする(撮影・河田真司)

アマチュアには、5月に選手養成所入りしてガールズを目指す飯田風音(かざね=18)や川路遥香(かわじ・はるか=22)の姿もあった。埼玉ガールズは現在8人で、愛知13人、東京12人に次ぐ大所帯。優勝経験もあるルーキー藤田まりあ(19)と同期の加藤舞(秋田=22)はアットホームな雰囲気でガールズの練習メニューを組める大宮で力を蓄える。埼玉は若手がなかなか育たない、という風評は、もう過去の話になった。【野島成浩】