3日制G3の宇都宮国際自転車トラック競技支援競輪は、渡部幸訓(37=福島)がG3初優勝。ガールズは、石井寛子が完全優勝で幕を閉じました。

G3初優勝の渡部幸訓(右)は竹内雄作に感謝しきり。優勝おめでとうございます
G3初優勝の渡部幸訓(右)は竹内雄作に感謝しきり。優勝おめでとうございます

渡部は長らく自在として奮闘。個人的にもデビュー時から知っている選手なので、優勝会見では心からの拍手を送らせてもらいました。

一方、100度目のG3優勝に挑んだ神山雄一郎は6着。レース前は地元ファンの声援とともに、前を行く宿口陽一への激励も多かったのですが…。レース後はヤジもなく、場内が静まり返っていました。静かに肩を落として帰られたファンばかり。神山と同じくらい、悔しさをかみしめていたように見えました。

川崎前検で、武田豊樹に宇都宮の決勝戦の率直な感想を聞くと「神山さん、100回目の記念がかかっていたんですよね。相当な努力を積んできたんだと思いますけどね…」と自分のことのように残念がっていました。そこで、レースを選手目線で分析してもらいました。

23日からの川崎F1に出場する武田豊樹
23日からの川崎F1に出場する武田豊樹

佐々木(悠葵)君はいつ踏むんだろう? と思って見ていました。あれは踏まないと。まだ、A級の7車くらいしか経験していないからでしょう。あそこ(最終ホーム)も踏まなかった。宿口も佐々木君が突っ張って駆けると思えば、あの3番手でしょう。けど、あれだけペースが緩んでいれば、竹内(雄作)君ならたたきますよ。だって、1年で一番バックを取る選手ですよ? ああなれば(神山は)厳しかったですね。

この見解を聞いて、納得しました。S級では当然ペースが上がる仕掛けどころがセオリーと違った。突っ張られた小川や、佐々木が逃げると信じていた宿口はそれに翻弄(ほんろう)されてしまったのでしょう。実は、竹内と渡部はレース後に「佐々木君はどこかで流すから、そこをたたくと決めていた」と証言していました。勝ったラインだけが、あのレースを読み切っていたのです。競輪って奥が深いですね。

もっとも、武田が佐々木の走りに厳しいことを言ったのは、今後の関東を担う若手だと見込んでのこと。「この後が大事。この経験を、悔しいと思って反省できるか、あーあ、負けちゃった、だけで終わるか。そこが大事ですよね」。規格外の新鋭佐々木が、この失敗をどう生かすか。今後も注目しましょう。【山本幸史】