近年はミッドナイト競輪の取材が多くなった。仕事の時間が変則的なため、昼間にぽっかり時間が空いてしまう。
記者によって過ごし方はまちまち。もちろん昼間から酒を飲むわけにはいかないので、観光したり、温泉や健康ランドで時間をつぶす者もいる。昼間からひと勝負とパチンコに出かける者もいる。
私の一番、手っ取り早い過ごし方は、グルメである。
今回は静岡ミッドナイトの取材。私は静岡を長く担当していたので、知人も多い。この日は、元選手が営む「すぱげてぃ屋」を訪れることにした。
新静岡から静岡鉄道に揺られること20分弱。狐ヶ崎という駅から住宅街を7~8分歩いたところに店舗はある。
店内に入ると、競輪選手やサッカー選手のサインやユニホームが所狭しと飾られている。
通されたカウンター席の上には、店主が「現役時代の憧れだった」と語る平原康多のサインが、壁に直接書いてあった。
「お久しぶりです」と出迎えてくれたのは、店主の田代真太郎さん。15年の選手生活を経て、15年7月に引退した。辞める2年前ぐらいから兼業していたので、お店がオープンしてからは、もう12年も過ぎたとのこと。
「120キロになっちゃいましたよ」。屈託のない笑顔は変わらないが、体のサイズ感は現役時代の2倍近くになっていた。
田代さんは生涯、自力主体の選手だった。何度も「先行はもうしたくない」と言っていたが、ラインに目標がなければ自力を出し、後ろに代謝の危機に陥った選手が付けば、「任せとけ」と駆けてしまう。輝かしい実績はないが、人情味のある選手だった。
そんな人柄は、第2の人生で生きてくる。店には現役選手やOBが足しげく通っており、平原や真杉匠も来店している。地域の人々にも愛され、清水エスパルスの選手も常連だ。
開店当時には何度も訪れたが、メニューがさらに増えていた。夜に取材があるので、好物のガーリック系は断念し、人気のカルボナーラを注文した。
麺の食感を大事にしていて、麺は圧力鍋でゆでる。“シュッシュッ”という蒸気の音が心地いい。待っている間にも次々にお客さんが来店してきた。
見るからに食欲をそそるカルボナーラが登場。厚めのベーコンと、中央には卵黄がトッピングされている。一口運んで思った。
「こりゃ太る」。
もちもちの麺がとにかくうまい。1/3ほど食べ進めたところで卵黄を崩し、ソースになじませると、コクが出てさらにうまい。店主の大型化した理由は、研究のたまものか。
この日に先頭誘導員を務める落合達彦も来店。共通の趣味であるゴルフの話題が弾み、楽しいランチタイムになった。
静岡にお越しの際はぜひ足を延ばしてください。アットホームな雰囲気と、おいしい“すぱげてぃ”で競輪でやられたショックも少し和らぎます。【松井律】





























