【ヤマコウの時は来た!】

 2日目特選は浅井康太のレース運びが目に付いた。ほぼ1周外に浮いた形で、新田祐大の後ろを奪い、2角まくりを差し切った。外並走を恐れない強気な姿勢は、ダービーの流れをつかんだと思う。

 さて、2予では竹内雄作に注目した。前回の大垣F1「ヤマコウカップ」準決で山口富生と初めてワンツーを決めた。走る前からの緊張感がすごかったらしい。それこそ「デビュー以来、一番緊張しました」と言うくらいのプレッシャーだった。それは、師匠である富生の兄貴の冠レースで、富生に恥をかかせたくないという一心だったろう。

 競輪選手に限らず何でもそうだと思うが、責任ある仕事を任せられると、それに応じた成長を見せるものだ。最近の竹内は、明らかに以前のプレッシャーに弱い彼ではない。レースからたくましさを感じる。そういった経験を経たおかげで「あの準決に比べたら、ダービーの1予はそんなに緊張しませんでした」と言えるレベルにまで成長した。

 このメンバーなら竹内が先行で勝負。今の彼をすんなり先行させたら、石井秀治、中川誠一郎でも簡単にはまくれないだろう。逃げ切りに期待した。(日刊スポーツ評論家・山口幸二)