【ヤマコウの時は来た!】

 GR賞は平原康多に注目した。初日特選の走りは誰が見ても強いと思うレース内容だった。まずスタートで車間が空いて足を使った。そして、先行する深谷知広の4番手をキープ。追い上げてくる小松崎大地をさばきながら仕掛けた。深谷マークの岩津裕介のブロックを3回、4回と受けた。しかし、最後に岩津の肩に頭を掛けて直線伸びた。とても自力選手の動きとは思えない。あれができると、対戦相手は脅威と感じる。

 平原にとって、日本選手権(ダービー)というのはやはり「他のタイトルとは別格」だと言う。6日間の勝ち上がりで勝者を決める。まさしく「実力日本一」の戦いの勝者になりたい。勝負は時の運だが、手の届くところにまで来ていると思う。

 高校の後輩でもある相川永伍が「どの地区の選手にでも、練習方法など包み隠さずに教えてくれます」と言っていた。自分の経験を踏まえて、すべてをさらけ出してアドバイスするというのは、非常に勇気のいることだと思う。実際、レースが終わった竹内雄作に、自転車の乗り方のアドバイスをしていた。ライバルとなる選手のレベルが上がっても、自分はその上を行ってみせるという自信だろう。

 今回も武田豊樹の前を回る。質、量ともに他のラインと比べて、関東勢が一枚上だと思う。平原、浅井康太は初日の走りでダービーの主導権を握っている。爪痕を残したいのは、新田祐大、川村晃司か。その3番手を奪って勝利をつかむとみた。(日刊スポーツ評論家・山口幸二)