【ヤマコウの時は来た!】

 初日、印象に残った選手は1予1Rの古性優作。組み立てはともかく、竹内雄作を相手に小細工せずに戦おうとした。なぜ近畿に、先行選手がたくさん育ってくるか分かるような気がした。

 そして、2予の注目選手は10Rの藤木裕。近況決して強気に攻める材料はないとはいえ、本人の気迫は全く衰えていないと思う。今年に入って、思うような成績は残せていないが、その欲求不満がかえってギラギラしたものを発散させている。

 初日、地元で勝ちたい古性に「ここで小細工して勝っても、2予、準決には生きてこない。しっかり戦うことが次につながる」とアドバイスしたという。まさしくその通りだと思う。それは常日頃、自分自身に言い聞かせていることだろう。

 私が、藤木のレースを振り返る時、真っ先に13年の京王閣オールスターを思い出す。準決で南修二と同乗し、新田祐大、池田勇人らと戦った。結果は、2車でも逃げた藤木が3着。自力選手としてのインパクトは彼が一番残した。たくさん優勝や1着を取ったレースがあっても、私はこれが一番印象に残っている。対戦相手にインパクトを与えることが、勝つ過程で大事になってくると思うのだ。

 今、藤木は度重なる落車で苦しんでいる。決して体調は万全ではないはずだ。点数もかなり落ち込んでいる。それでも前を回る後輩は、自分のこと以上に藤木のために頑張ってくれている。周りが藤木を盛り上げていると思う。

 このレースも、先行するのは2車でも稲毛健太。そこをしっかりものにする。(日刊スポーツ評論家・山口幸二)