【ヤマコウの時は来た!】

 ◆11R 

 今年のダービー王・三谷竜生に力強さが戻った。前回武雄G2・3日目から徐々に戻りつつあったが、初日に本来の長い距離をもがいて勝てた意義は大きい。2日目以降も期待できる。

 初日に力強いレースを見せた根田空史も同様だ。赤板で先行態勢に入った取鳥雄吾を、迷わずにたたいた。取鳥は最近まくりで結果を出しているので、先行するかどうか迷った一瞬の隙を突いた。これは日頃のレースの積み重ねだと思う。

 例えば前回松戸G3決勝での吉田拓矢との2分戦。けん制があって前を取った根田は、吉田の仕掛けが遅ければ突っ張る気持ちだった。それを察した吉田が残り3周で押さえた。根田は引いて巻き返すタイミングをうかがおうとするが、単騎の選手が切り替えず、想定外の4番手が取れた。

 残り2周から1周の時点で「このまま4番手でまくりを狙っていいのか」、「地元開催で同県3人そろっていて、吉田の好きにさせたくない」など、いろいろなことが頭をよぎったという。奈良G3を、郡司浩平の先行に乗って優勝したことも気持ちの中で大きなウエートを占めた。残り1周でカマして合わされたが、私はあれでよかったと思う。根田のスケールはG1を狙える。G3の優勝も大事だが、もっと大きなものをつかんだ。

 2予A11Rは強敵がそろった。根田をカマす相手はいても、じっくり先行争いする選手はいない。それを逆手にとって、早駆けの展開にならなければ勝てる脚力はあると思う。(日刊スポーツ評論家・山口幸二)