福島3車結束で渡辺一成(34=福島)が8月の地元オールスターに続く、今年のG1・2冠で通算3度目のG1制覇。最終ホーム3番手から新田祐大が好スパートし、ゴール前で差し切り。3着にも成田和也が入って、福島勢で上位独占した。席巻したナショナルチームのスピードで、2年連続のKEIRINグランプリ(GP)へ、フル加速する。

 超高速バトルの最後を締めくくったのはナショナルチーム同士の結束だった。「すべてを新田君がやってくれた。それに尽きる」。渡辺は何度も勝利を振り返った。「中部作戦を予想した」。中部勢は愛知勢3人と浅井康太で別線も、浅井がインを切って、深谷知広ラインを招き入れるシナリオが想定された。それを新田が機敏な反応で封じた。

 青板バックから仕掛けた浅井が赤板で前を押さえたが、新田が踏み込んで3番手キープで深谷を後方に置いた。最終ホームで深谷のまくりに合わせた新田がまくり一撃で決着をつけた。

 ナショナルチームの圧倒的なスピードがシリーズを席巻した。ナショナルチームの練習で中0日の参戦。「新田も疲れがある中で限界以上の走りをしてくれた」。それは渡辺も同じだ。シリーズ中もブノワヘッドコーチから指示されたメニューをこなし、食事もナショナルチーム流にコントロールして、最高のパフォーマンスを見せつけた。

 今年2度目、通算3度目のG1制覇は、すべて新田の番手。「前後は話し合って決める。自分が前で走ることはこれからもある」。新田の番手が指定席ではないことをアピール。11月上旬から自転車競技のW杯参戦のため海外遠征が続く。年内の競輪出場は11月のG1競輪祭とGPだけ。「ナショナルチームのインパクトを与えられるレースをする」。さらにスピードを磨き上げ、頂点へ突き進む。【大上悟】

 ◆渡辺一成(わたなべ・かずなり)1983年(昭58)8月12日、福島県双葉町生まれ。小高工卒。88期生として03年京王閣でデビュー(1<1>(4))。08年北京、12年ロンドン、16年リオ五輪出場。16年久留米全日本選抜でG1初V。今年のいわき平オールスターに続きG1優勝は3回目。818戦232勝、通算獲得賞金4億9250万7900円(9日現在)。176センチ、80キロ。血液型A。