【中嶋聡史・火事場のナカぢから スペシャル】
◆12R：特選 山田庸平が、脇本の番手を回る。ともに地区的には単騎の構成で、競輪学校（現選手養成所）は同期の間柄。連係することも自然の流れに思えるが、その結論を導くまでには、ぎりぎりまで悩み抜いた。
「松山G3優勝も（伊藤）颯馬のおかげ。今は九州の後輩も頑張ってくれているし、まとめ役の立場にもなってきた。最近は、他地区の選手に付いていないので、ここで付いていいものか…」という葛藤から救ってくれたのは、九州の先輩たちだった。「（井上）昌己さんに相談したら『付いてもいいんじゃないか』って。他の人に聞いても、そう言われた」。そっと背中を押してもらった。「脇本君の番手を回ることで、学ぶこともいっぱいある。格上のすごい選手だし、付くからには覚悟を持っていきたい」。迷いは吹っ切れた。
ウィナーズカップは、並々ならぬ思い入れがある。「初めて出たビッグレースだし、そこから競輪に対する姿勢が変わった」。転機を与えてくれた大会。昨年は、グランプリ出場争いまでに飛躍を遂げた。
特選12R、「1着に一番近くて遠い位置」とも言われる脇本の番手を回ることは、もろ刃の剣だ。近畿の名うてのマーク選手が追走に苦しんできた場面も、目の当たりにしてきた。仲間も、ライバルからも視線を集める番手戦。だからこそ、結果で示すしかない。脇本を逆転すれば、周囲に与えるインパクトは絶大だ。
腰痛明けの不安を解消したい脇本が、調子を確かめる意味でも早めの巻き返しに出る可能性は十分。山田の差し目に絞って（9）－（1）－（2）（3）（4）（5）、（9）－（2）（3）（4）（5）－（1）の計8点勝負。
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