準決は、どれも動きが激しいレースとなった。10Rは犬伏湧也と松井宏佑の先行争いから、清水裕友と深谷知広の踏み合い。11Rは藤井侑吾と新山響平のもがき合いから始まって、森田優弥と窓場千加頼が踏み合った。

迫力あるレースと落車は紙一重。当たって良いところと、良くないところの分別が分からなくなっている。スピードを追求するのもいいが、競輪の流れとは何かを追求するのも大切なことだ。


先行力が光る北井佑季
先行力が光る北井佑季

決勝はレースの流れが読みづらい。窓場の先行意欲が高そうだが、北井佑季も信念を持って先行に徹している。準決後の共同インタビューで「残り2周で誰も来なかったので、ゴールまで逆算して走った」とコメントした。

この「逆算」と言う言葉は、先行日本一だった村上義弘氏がよく使っていた。カマシやまくりを合わせるのにどれだけの力を使ったらゴールまで持つか、というやつだ。「まず先頭に出てから考える」選手が多い中で、力の配分を考えながら先行を極めている。

「全部、準決のような(前受け突っ張りの)競走ばかりではタイトルを取れないので」と、考えたのが前半2日間だった。結果は出なかったが、1走1走が肥やしになっていると感じた。


ヤマコウ(右)の質問に答える北井佑季
ヤマコウ(右)の質問に答える北井佑季

決勝は近畿勢の主導権が濃厚だと思うが、北井はヨコもできる。「毘沙門天賞は犬伏のスピードを読み間違えた」のであれば、やすやすと近畿に主導権を取らせるレースはしないと思う。踏んでたたかれたら、番手をどかせることも考えているのではないか。(日刊スポーツ評論家)

【ヤマコウの印】◎北井佑季 ○深谷知広 ▲古性優作 ☆脇本雄太 △清水裕友