大好きな宮島の水面で光り輝いた。今垣光太郎(49=福井)がイン逃げで初のマスターズチャンピオンの座に就き、来年クラシック、今年11月の第1回バトルチャンピオントーナメント(平和島)の出場権を獲得した。近畿勢としては05年第6回大会(戸田)の水野要(引退)以来、3人目の優勝。2着には吉川元浩、3着には松井繁との接戦に競り勝った太田和美が入った。

「相性は抜群!」と公言する相思相愛の水面で、今垣光太郎が最高の結果を出した。今節初めて走る12R。試運転では重たさを感じていただけに、ペラ調整をどうすべきか、思案にくれた。「(展示が終わってからレースまでの)約40分の間にどうなるか? って。エンジンは本当にいいので結局、我慢しました。本番ではぎりぎり回ってくれてましたね」。自身の感覚と、素性の良さを信じて本番に臨んだ。

風速は0メートルのベタ水面。スタートは「早仕掛けでフライングを切らないように、起こしのタイミングだけ気をつけました」と細心の注意を払った。インからコンマ09の踏み込みを全速で決めると、1Mへ一目散。そのままゴールへと駆け抜けた。「すごくいい結果になって、夢のようです」。

17年2月、三国での近畿地区選以来、久々のG1優勝。その後はG1、SGでは予選突破もままならず、衰えを感じて弱気になるときもあった。「あと1、2年で辞めることも考えました。でもまだいける、ってね」。復活の手応えを感じ取った優勝でもあった。

今垣といえば常に全力で走るイメージがあるが、最近は心境にも変化が出てきた。「がつがつしなくなりましたね。空回りばかりしてたので、それくらいの方がいいんでしょう」。

「最高の思い出がいっぱい」という平成は間もなく終わり、来月には元号が令和に変わる。誰からも愛される男が、次なる時代もボートレースを盛り上げる。【工藤浩伸】

◆今垣光太郎(いまがき・こうたろう)1969年(昭44)9月18日、石川県小松市生まれ。63期生として88年11月の三国でデビュー。初優勝は90年10月の蒲郡。SGは99年3月児島クラシックなど優勝9度。G1優勝29度。同期は滝沢芳行、渡辺睦広ら。161センチ、52キロ。血液型A。