超新星が偉業を達成した。地元の山口拳矢(25=岐阜)が2角7番手からまくり、デビュー最速となる479日(1年114日、デビュー日を含まない)でのビッグレース優勝を果たした。KEIRINグランプリ(GP、12月30日・静岡)出走も視界に入れた。優勝のインタビュアーを務めた父ヤマコウ(山口幸二氏=日刊スポーツ評論家)が感激の思いを特別寄稿した。

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拳矢おめでとう。1着でゴールした時は信じられなかった。どこかで、新田祐大の番手まくりは越えられないという思いがあった。あとは位置取り確かな平原康多、清水裕友、郡司浩平がいる。どう考えても優勝パターンが思いつかなかった。

位置取りがうまいと言っても、しょせんデビュー1年の新人。町田太我のような先行力があるわけでも、確かなヨコの技術があるわけでもない。拳矢が生きる道は「自ら動いて好位を取ること。そして、中団外並走の選手をどかせる最低限のさばきができなければいけない」と養成所時代から言ってきた。レースで分からないことがあると常に電話をしてきた。自分で理解できないことは聞くというアグレッシブさがあった。

デビューしてもそれが続いたが、岸和田高松宮記念杯あたりから、そういうことも聞かなくなった。G1を経験することで、一流選手はどう考えるのかが分かってきたのかもしれない。

優勝インタビューでは、おやじがいるにも関わらず全く涙を見せることがなかった。私なら絶対泣いている。親バカと思われるかもしれないが、しょせん私はそれくらいの器で、拳矢はG1やGPを狙う器なのかもしれない。これからも私の仕事(走るレースでの解説)を奪って、若手の希望の星となってほしい。(日刊スポーツ評論家)