ナイターで初めて開催されたクラシックは、歴史的な結末となった。遠藤エミ(34=滋賀)がインから押し切り、女子レーサーとして初のSG制覇を果たした。女子初のSGグランプリ出場へ、大きな賞金加算となった。2着は上條暢嵩、3着は中島孝平が入った。

ヘルメットに雨が打ち付ける中、遠藤エミはスタートの瞬間に集中した。大時計の秒針を確認し、レバーを握り込む。インからのタイミングはコンマ07。多少放ったスリットでは2、3コースに先行を許したが、伸び返して先マイした。

15年のSG初出場から約7年。テクニックだけでなく、重圧と闘う覚悟ができていた。「めちゃくちゃうれしいです。今までにない緊張だったけど、負けないように向き合えた」。涙声になりながら、女子初のSG制覇を喜んだ。

68号機が大きな後押しになった。序盤から自他ともに認める好パワーで突っ走った。優勝戦でも、その威力に陰りはなかった。「抜群でした。自分がミスさえしなければと思っていた。1Mは差されたかなと思ったけど、誰もいなかった」。相棒の力が頼りになった。レース前には多くの選手から激励を受け、力に替えた。「声をかけていただき、泣きそうでした。自分は幸せ者だなと」。ウイニングランではファンに感謝を込め、何度も手を振った。

これで女子初のSGグランプリ出場も現実味を帯びてきた。「SGを優勝したいとは思っていたけど、まだまだうまくないし、もっと強い選手になりたい」。大村ではSG、プレミアムG1、G2を制したことになる。「いろいろな経験をさせていただき、相性がいい水面です」。このまま年末のベスト18入りを果たし、大村で初開催される12月のグランプリで、またも、ボート界の歴史を塗り替える。【東和弘】

◆遠藤エミ(えんどう・えみ)1988年(昭63)2月19日、滋賀県生まれ。102期生として、08年5月びわこでデビュー。08年9月びわこ一般戦でデビュー初勝利。17年12月大村でG1初優勝。通算優勝は37度。同期は前田将太、上野真之介ら。155センチ、44キロ。血液型A。

◆優勝戦VTR スタート展示、本番とも枠なりの3対3。スリットは秦が先行したが、遠藤が伸び返して先マイ。そのまま後続を引き離した。ブイ際を突いた上條、まくり差した中島の2番手争いは、2Mを遠藤に続いて回った上條が2着。中島が3着に入った。