端正な顔立ちとダイナミックなレースぶりで「ボート界の貴公子」と称されてきた山崎智也(48=群馬)が、電撃引退する。12日、日本モーターボート競走会に引退届を提出した。

「ボートの貴公子」山崎智也48歳早すぎる電撃引退「最近は勝っても楽しくない」GP2度SG11度制覇>>

山崎智也さんほど、ビジュアルと実像がかけ離れている選手はいなかった。関東のWエースとして浜野谷憲吾とともに大活躍した90年代後半~00年代前半。典型的な天才肌だった浜野谷とは対照的に、山崎さんはボートレースをピュアに愛して、極めるために泥臭い努力をしてきた印象がある。あまり多くを話すタイプではなかったが、思いを短い言葉に詰め込んだ。だから行数が短くても、コメントに物足りなさを感じたことはなかった。

コース不問、縦横無尽のハンドルで魅了した。ただ、私的にボートレースを楽しくさせてくれた最大のパフォーマンスは、2コースジカまくりという戦法をメジャーにしたことではないか、と思う。今やジカまくりは若手も積極的に選択するが、差しが定石という先入観を根本から覆した。当初はインのみならず、3コースから外の対戦相手も苦慮したように映った。ボートレースの可能性を広げたナイスガイだった。【公営担当デスク・鎌田優】