新山響平(29=青森)が、同地区の大先輩の新田祐大を最終2角で番手まくりし、G1初制覇を飾った。

昨年決勝2着の悔しさを晴らし、北日本の結束力を示した。この結果、新山が初のKEIRINグランプリ(GP、12月30日・平塚)出場権を獲得した。賞金ランクで結果待ちだった清水裕友(28=山口)はS班から陥落となった。


初のG1タイトルを手にした新山響平は賞金ボードを掲げて笑顔(撮影・梅根麻紀)
初のG1タイトルを手にした新山響平は賞金ボードを掲げて笑顔(撮影・梅根麻紀)

新山響平が昨年の忘れものを取り返し、初のG1タイトルをゲットした。


絶対に勝たなければ、ならなかった。輪史に残る、グランドスラマーになったばかりの新田祐大が、先導役だけでなく、激しいスタート合戦にまで参加してくれていた。「ラインに感謝です。頭が上がらない。普通に考えれば、僕が前で新田さんがあの形で優勝するのが普通。ただ、優勝したい、と伝えて番手を回りました。自分にもプレッシャーをかけて、絶対取ると意思を固めました」。


歓声を浴び、両手を突き上げファンにアピールした。インタビューを終えると思わず「(言葉が)出てこねえ」と苦笑いを浮かべた。初タイトルの喜び以上に、プレッシャーに打ち勝った解放感にあふれていた。


競輪祭の決勝ゴールを1着で駆け抜ける新山響平(左)
競輪祭の決勝ゴールを1着で駆け抜ける新山響平(左)

107期の卒業チャンピオンとしてデビュー。長く踏める先行を武器に活躍。自らナショナルチーム入りを希望し、世界を目指して奮闘してきた。ただ、五輪種目のケイリンとスプリントで結果が出せなかった。五輪種目ではない、1キロタイムトライアル(TT)も、後輩が台頭していく。ラストチャンスだった、今夏のジャパントラックCと全日本トラックを最後に競輪一本に絞る決意を固めた。


もう悔しい思いはしたくなかった。昨年、競輪祭決勝は逃げての2着。勝者は同期のライバル吉田拓矢だった。「ずっと(心に)引っかかっていた」。形は違っても1年後、同じ舞台で過去の自分に打ち勝った。


「ラインにおんぶにだっこだったので、GPでしっかり恩返しできるように」。新田、佐藤慎太郎、そして守沢太志。北日本4人で挑む平塚GPで、快速先行を披露する。【山本幸史】


 
 

◆新山響平(しんざん・きょうへい)1993年(平5)11月2日生まれ。青森県八戸市出身。八戸工高卒。競輪学校(現養成所)107期生で卒記チャンピオン。15年7月に大宮でデビュー(予選1着、準決2着、決勝1着)。16年ルーキーチャンピオンで優勝し、同年優秀新人選手を獲得。G1初制覇。通算587戦176勝。通算獲得賞金2億8827万5100円。171センチ、76キロ。血液型A。