平原康多（40＝埼玉）は生涯勝率が3割を超え、連対率は5割を超える。だが、なぜかGPになると勝てない。今年で10年連続13回目の出場。決戦を前に、誰よりも平原を知る関東ゴールデンコンビの相棒・武田豊樹（48＝茨城）が渾身（こんしん）のエールを送った。最強の自分を思い出し、今度こそ悲願達成だ。

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2010年代の競輪界を席巻した関東ゴールデンコンビの武田豊樹は、こう断言した。「これまで勝てていないことなんて気にする必要はない。平原康多はGPを勝てる選手です」。

最初はライバル関係だった2人が、いつしか兄弟以上の固い絆で結びつく。しかも、9歳の差がありながら関係性は限りなく対等に近い。こういうケースは極めてまれだ。

武田「最初は別線で戦っていましたから。仲も良くなかったし、彼が何を考えているのかも分かりませんでしたよ。康多より強い先行選手でいたいという意地もあったから、後ろを回るのは嫌だったんです」。

この2人を結び付けたのは、競輪界のレジェンド・神山雄一郎の「関東で並ぼう」の一言だった。1度交わった2人は、すぐさま最強のコンビネーションを発揮し始めた。

平原「僕が誰かに言ったことを、数時間後に武田さんが全く同じように話したりする。驚きますよね」。

武田「お互いのここがいいなんて話はしたことがないし、言わなくても分かる。代わりのいない存在」。

平原「武田さんにアドバイスはもらっても、ガツンと怒られたことは1度もないです」。

大事な場面になると、暗黙のうちにビジョンは一致。気が付けば、2人の連係から合計11個ものG1タイトルが生み出されていた。

 

【後編はこちら】武田豊樹「平原に勝って欲しいが他には負けたくない」気持ちの変化がエール送る原動力／平塚GP

 

◆平原康多（ひらはら・こうた）1982年（昭57）6月11日、埼玉県狭山市生まれ。川越工高卒。競輪学校（現養成所）87期生として02年8月に西武園でデビュー（1＜2＞（9））。G1は09、10年びわこ高松宮記念杯、09、14、16年小倉競輪祭、13年松山全日本選抜、17年取手全日本選抜、21年弥彦寛仁親王牌の8勝。G2は06年ふるさとダービー富山、18年高知共同通信社杯の2勝。通算1439戦474勝。通算獲得賞金は15億649万9100円。185センチ、97キロ。血液型A。

◆武田豊樹（たけだ・とよき）1974年（昭49）1月9日、北海道斜里町出身。釧路緑ケ岡（現武修館）高卒。02年ソルトレークシティー冬季五輪スピードスケート500メートルで8位入賞の後、競輪学校（現養成所）88期生として、03年7月に立川でデビュー（1＜1＞棄）。G1は09年岸和田日本選手権（ダービー）、同松山オールスター、12年函館高松宮記念杯、同小倉競輪祭、14年前橋オールスター、15年岸和田高松宮記念杯、同小倉競輪祭の7勝。14年岸和田GP優勝。G2は8勝。12、14年最優秀選手賞など表彰は多数。通算1465戦470勝、通算獲得賞金は16億238万6858円。177センチ、90キロ。血液型O。