「ありがとう」。そう感謝の言葉を伝えながら泣く師匠の峰竜太を見て、定松勇樹も涙が止まらなかった。「選手になろうと思ったときからの憧れの方で、選手になってからもアドバイスをいただいて、師匠が竜太さんで良かったなと思います」。最終日も緊張する定松に峰から金言があった。「待機行動中に楽勝! 楽勝! と声に出して笑っとけばいいと言われました」。それを実践し、完璧なイン逃げにつなげた。

SG制覇は18年8月に亡くなった父の夢でもあった。「お父さんがテレビでボートレースを見ていなかったら、自分も出会えていたか分からない。家に写真立てがあるんですけど、(出発前に)行ってくるねって言いました。(優勝戦を)見てくれてたらいいですけどね」。レーサーになるきっかけを作った天国の父に最高の報告ができた。

この優勝で獲得賞金は2位に浮上。年末のグランプリ出場が見えてきた。「優勝して次は(グランプリで)チャンスがあればと思いますし、グランプリの常連と言われるような選手になりたいですね」。23歳になったばかりの若武者は、最高峰の舞台で戦い続ける将来像を思い描いた。

今後はSGレーサーとして、ぐっと注目度が上がる。「これで終わりではないので、これからもファンの皆さまの期待に応えられるように、1走1走気持ちを込めて、上だけ目指して頑張りたいと思います」。ファンに愛される師匠に追いつけ追い越せで、これからも努力を続ける。

☆…定松がウイニングランをしている最中も、師匠の峰竜太は泣いていた。「自分の時とは違ううれしさがありました。自分の中で、辞める前に、弟子がSG取るとこみたいなと思ってたので…」と声を振り絞った。

弟子の定松は23歳でSG初優出V。峰のSG初制覇は17年丸亀オーシャンC、32歳、11度目の優出だった。「スーパースターっすよ。マジで。自分をはるかに越えていく逸材になってくれると思う。もう越えてます」。峰はそう言って、泣きながら笑った。

峰は最近、以前ほどモチベーションを高く保つのが難しくなっていたという。「夢を見失ったじゃないけど、燃え尽きちゃったんですよね。ここに来る前ぐらいから」。それだけに、弟子の優勝は心からうれしく、刺激もされた。賞金ランクは定松2位、峰6位となった。「自分も、これをきっかけにもう1度、頑張ってみようかなと思った。一緒にグランプリ走りたい」。師弟で壮大な夢実現へ走り続ける。