日本人の良さが出た。攻守で数的優位を作る場面が多く、少ないチャンスをものにできた。全員が献身的に走った。1対1の局面では負けることがあっても、ほとんどの場面で相手1人に対して2人がアタックした。これは、代表だけでなく、アンダー世代にも徹底していかないといけない。

 これまで日本代表は、いろんな国の監督を迎え入れた。監督のスタイルで、戦い方が決まる。ジャパンスタイルは確立しない。西野監督は就任3カ月で一体感をもたらした。誰より多く選手の試合を見たし、プレーの特徴だけでなく、個々の性格、習慣なども熟知しているため、気持ちを1つにすることができる。全員が同じ方向を向いて労を惜しまない。これが日本スタイルではないだろうか。

 弱いチームは、リードしていても1点取られると、弱気になることがある。後半24分と29分の失点が典型的なパターンだ。「まずい」の気持ちは1失点した時点で全員が持っていた。ここで必要なのが強いリーダーの存在。「これから10分間だけ、みんなで耐えよう」と手をたたけるリーダーを育てる必要がある。

 戦いに不満はないが、フェライニ、シャドリを入れて高さ勝負にきた時、ヘディングの強い植田を入れて3バックにしたらどうだったか。そのため、大会前に3バックを試したのではないだろうか。いずれにしても夢を見させてくれた西野ジャパンに感謝したい。

 批判の声はあるが、個人的にはドーハの悲劇があったから、ポーランド戦最後の10分のボール回しがあったと思う。これが蓄積というもの。帰国後は、西野監督を中心に日本のサッカー哲学を構築し、次のステップにする必要があると、感じた。(日刊スポーツ評論家)