セットプレーのバリエーションが格段に増えた。2-1で逆転勝ちした24日のアウェー鳥栖戦。J1新潟は1-1の後半9分、MF小見の右CKからFW鈴木が頭でつなぎ、フリーで飛び込んだDF新井が頭で勝ち越し点を奪った。ゲーム主将を務めた新井は「セットプレーを担当している(渡辺)基治コーチがあのコースは空くと分析した結果」とし、松橋監督も「プラン通りの得点だった」と開幕戦白星を喜んだ。

新たな武器が加わった。21歳のMF小見のやわらかで正確な右足でのプレースキック。パリ五輪出場を目指すU-23日本代表候補のアタッカーは、昨季までキッカーを務めることがほとんどなかった。だが、今季初戦でその精度の高さを示し、後半7分のPK獲得につながった左CKも小見のキックからだった。

さらにMF秋山とMF高木の右足、MFダニーロ・ゴメスの左足と昨季までの主力キッカーからも数多くのチャンスが生まれた。そのキックの種類は豊富で、ゴールに向かっていく軌道のインスイングと、ゴールから遠ざかる軌道のアウトスイングを状況によって使い分けることもできる。

ただ「全て完璧だったかは疑問が残る」と松橋監督。確かに前半の内容は最悪だった。それでも試合中に立て直し、威力を増したセットプレーから決勝点。殊勲の新井は「てっぺん目指してやりたい」と言い切った。J1復帰2年目。今季のチームは本気でJ1初制覇を狙っている。【石川秀和】

◆クラブ日本選手初の2年連続J1開幕戦ゴール FW谷口の一撃が流れを一変させた。0-1の前半48分、新加入のMF宮本の縦パスに抜け出して右足ダイレクトでたたき込んだ。2年連続の開幕戦ゴール。新潟の選手では15、16年のFWラファエル・シルバに次いで2人目で、日本選手では初めてとなった。昨季は3ゴールにとどまったが、今季は最低でも2桁得点が期待される。

1-1の後半9分、新井の勝ち越し点につながる右CKを蹴る小見
1-1の後半9分、新井の勝ち越し点につながる右CKを蹴る小見
1-1の後半9分、新井の勝ち越し点につながる右CKを蹴る小見
1-1の後半9分、新井の勝ち越し点につながる右CKを蹴る小見
試合終了後、サポーターに笑顔を見せる谷口(左から2人目)
試合終了後、サポーターに笑顔を見せる谷口(左から2人目)