今月上旬、ジュビロ磐田に新たな施設が完成しました。

 U-18選手とトップチームの若手選手の寮を兼ねた「Jubilo Clubhouse・Athlete Center」です。

 木村稔社長(63)は、同施設の建設理由について「チームの強化にはユースとの連動が大事になる。サッカーに集中できる環境が必要と考えた」と、説明しました。15年3月に育成環境強化を目的に構想がスタート。C大阪や京都など他クラブへの視察を重ね、総工費約4億円をかけて完成しました。15日には報道公開されましたが、文字通り充実した施設でした。

 29室の選手部屋に加えて乾燥室やトレーニングルーム、治療室を完備。さらに、最大の魅力はトップチームの練習場に併設されていることです。クラブ関係者によると、同様の施設は「日本初」とのことでした。 窓からはグラウンドが一望でき、タイミングさえ合えばMF中村俊輔(39)やE-1選手権日本代表のFW川又堅碁(28)らのプレーを寮に居ながら見ることが可能です。木村社長は「トップチームを間近で感じられて、トレーニング方法などを見られる環境はプラスだと思う。これをジュビロの強みにしていけたら」と、話していました。

 報道公開から2日後の17日、磐田U-18は高円宮杯プレミアリーグ参入戦を勝ち抜き、初のプレミア昇格を決めました。来季からは高校年代最高峰のリーグでの戦いを通じ、そして最高の環境の中でトップ昇格を目指していくことになります。木村社長も「ここからが勝負だと思っている。この寮から、トップチームで活躍する選手を輩出していきたい」と、決意を新たにしていました。

 今季トップチームは、昨季の13位を大きく上回る6位でフィニッシュしました。名波浩監督(45)の下で1歩ずつ進化を続ける中、「磐田のサッカー」を理解した育成出身の選手が1人でも多く昇格を果たしていけば、その速度はさらに加速するはずです。この施設が、過去3度のリーグ優勝を誇る磐田復活への大きな武器になるのかもしれません。


◆前田和哉(まえだ・かずや)1982年(昭57)8月16日、静岡市生まれ。小2からサッカーを始め、高校は清水商(現清水桜が丘)に所属。10年入社。昨年までは高校サッカーを取材し、今年から磐田担当。

12月上旬に完成したJubilo Clubhouse・Athlete Center
12月上旬に完成したJubilo Clubhouse・Athlete Center