J2アビスパ福岡が被災地の思いを胸に昇格を目指す。9月5日、選手会を代表して会長のDF実藤友紀(29)とDF堤俊輔(31)が昨夏の九州豪雨で大規模な土砂崩れが発生するなどの被害を受け、いまだに生々しい傷痕を残す福岡県の東峰(とうほう)村役場などを表敬訪問。義援金を渡すなどして慰労した。

実藤が「東峰村へ向かう道中で見た倒木・土砂崩れ等の被害にショックを受けました。実際に自分の目で見てみると、復興には、まだまだこれから時間がかかると感じました」と目の当たりにした厳しい現実がある。

東峰村は、被災による通行止めはなくなった。だが今でも川沿いの崩れた国道の復旧作業などが続き、家をなくすなどした46人が仮設住宅での暮らしを強いられており、堤は「自分たちがやれることはプレーで元気づけること。しっかりピッチで感動や元気を与えたいですね」とチームの思いを代弁した。

16年の熊本地震の際、甚大な被害を受けた益城町の知人へ物資を届けるなどした堤は、個人の意見として「今後、(東峰村の)子どもたちとサッカー教室などで触れあう機会があればいいですね。選手会でそういうことをやろうという話はしています」。8月11日水戸ホーリーホック戦に東峰村の子どもたちを招待した経緯があり、さらなる支援を模索中だ。

現在、福岡は8戦を残しJ1昇格圏外の7位と正念場を迎えている。被災地に勇気と感動を与えるためにも、9月26日に敗れた京都サンガF.C.戦から中2日で迎える同29日の5位大宮アルディージャ戦で連敗するわけにはいかない。「勝ち点が同じ(勝ち点57)大宮との上位対決に絶対負けられない。ホーム試合だし絶対勝ち点3を取る」と悲壮な決意を示した。福岡の今季スローガン「感動と勝ちにこだわる」に恥じぬよう最後まで死力を尽くす。

◆菊川光一(きくかわ・こういち)1968年(昭43)4月14日、福岡市生まれ。福岡大大濠高-西南大卒。93年入社。写真部などを経て現在報道部で主にJリーグなど一般スポーツを担当。プロ野球などのカメラマンも兼務する“二刀流記者”。スポーツ歴は野球、陸上・中長距離。