J2降格圏に低迷するJ1大分トリニータが、後半戦へ反撃ののろしとなる勝利を奪った。

5月30日アビスパ福岡戦。ここまで6連勝を含む7試合連続負けなしの5位と絶好調だった相手を2-1で撃破。片野坂知宏監督(50)にとっては「やっぱりハードワークをすること、球際で戦うこと、泥臭くてもマイボールにする、走りきる、バトルを制す。そういうベーシックな部分は非常に大事だなと感じています」と、チームを立て直す原点回帰の一戦となった。

大分は国際Aマッチデーによるリーグ戦中断前の試合で5試合ぶりの今季3勝目を奪ったが、16試合を終えいまだ降格圏19位と苦しい状況は変わらない。それでも、片野坂監督は「攻撃と守備をどういうふうに今後のリーグ戦で戦っていくか、質の部分や戦術の部分をもう1度合わせてできるような形でやっていきたい。底上げも含め、また一体感を持って向かっていきたい」と言い、光明を見いだす好機となった。

選手にとっても自信を取り戻す勝利だった。堅守を誇り、直近7試合で計3失点だった福岡から、右サイドの速攻で崩して先制した。後半、外国人2選手を投入するなど相手が得意とするパワープレーで押し込まれる場面もあったが、強烈な圧力を全員でしのいで逆に課題だったCKから追加点を奪った。

先制点のFW長沢駿(32)は「苦しい時期が続いていたので1つ勝てて良かった。今日みたいな戦いをベースにしていかないと勝てないと改めて思った。まだ課題はあるが(リーグ)後半も自分たちのサッカーを取り戻しながらやっていけるようにしたい」と手応えを得た様子。リーグ戦中断明けからの逆襲に期待したい。【菊川光一】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サッカー現場発」)

◆菊川光一(きくかわ・こういち)1968年(昭43)4月14日、福岡市博多区生まれ。福岡大大濠高-西南大卒。93年入社。写真部などを経て現在報道部で主にJリーグや高校野球などを担当、プロ野球などのカメラマンも兼務する「二刀流記者」。スポーツ歴は野球、陸上・中長距離。