6月末、東京・西八王子駅前の商業施設内にある「にしはちスポーツジム」とJ2東京ヴェルディが“コラボ”したイベントが行われた。

昨年11月にオープンした同ジムは民間では珍しい障がい者を対象としたジム。マシンを使ったサーキットトレーニングやトランポリン、ボルダリングが楽しめ、さらにサロンでくつろぎ、仲間たちと交流することもできる。

にしはちスポーツジムの存在を知った東京V普及部の「イケメンコーチ」こと中村一昭氏が、すぐに同ジム代表の崎田京子さんに連絡。イベントが実現したという。

スポーツ&SDGs普及活動に取り組む東京Vは「年齢、性別、障がいの有無などにかかわらずスポーツの楽しさを伝えること」を目標に掲げている。ホームタウン各地で行ってきた障がい者スポーツ体験教室は19~21年だけで350回を超え、同期間中にオンラインも含めてのべ1万人以上の人々が参加した。

この日のイベントではジムを訪れた障がい者の方々と「えびかにダンス」や、サッカーボールを使ってプラスチックのピンを倒すボウリングなどで汗を流し、楽しいひとときを過ごした。ただスポーツを行うだけでなく、コーチたちのジョークを交えた掛け合いで、イベントは終始、笑顔に包まれたものになった。

崎田さんも「ヴェルディさんはこういった活動の経験が長い。私たちも楽しかったです。もともと楽しく体を動かすことをこちらで体験してほしいというのがあるんですけど、笑いを取りながらというのはなかなか難しいので」と感心していた。

中村氏は「東京ヴェルディの目標は、どこに住んでいても障がいのある方々にスポーツができる環境を提供すること。それは我々の力だけでは成し遂げられない。日本でこういう(障がい者向けジム)活動もなかなかないと思うので、すぐに崎田さんに電話をかけて、一緒にやりましょうと言いました。(イベントが開催できて)本当にやって良かった」と説明した。

この日のボウリングでは、投げたボールを拾って次の順番の人に渡すところまでが一連の動作だった。最初はボールを拾って渡すことができなかった人も、回数を重ねるごとにそれができるようになっていった。崎田さんは「最初は飛び回る、座ってくれない、話を聞いてくれないという感じの最重度(の障がい)の方でも、トレーニングマシンに座ると手が動くようになってくる。(私たちが)やれると信じて諦めずに待つという形でいれば、1ミリずつでも前に進んでいけると思う」と強調する。

中村氏の目標はこの活動を全国に広めること。「障がい者の方々にスポーツを提供している人々と協力しながら、日本中にスポーツができる施設、活動を増やしていきたい。Jリーグの各クラブがこういった活動をやってくれれば、日本中どこに引っ越してもスポーツができる。そういうことが実現できれば」。理想を胸にイケメンコーチら東京V普及部の面々は今日も都内を飛び回っている。【千葉修宏】