日本サッカー協会は20日、膝を手術する可能性が出ていた日本代表MF長谷部誠(33=フランクフルト)が、W杯ロシア大会アジア最終予選でUAE遠征中のチームから離脱すると発表した。同日、UAE・アルアインでの練習前にハリルホジッチ監督が円陣でチームに伝えた。夕暮れ迫る中東の地で始まった円陣でのミーティングは17分ほど続き、うち3分間は長谷部が仲間に思いを託すスピーチだったという。

 練習後、取材に応じた長谷部は「この大事な試合の前にチームを離れることになり、申し訳ない。苦渋の決断」と悔しそうな表情。負傷箇所は、これまでドイツメディアなどで報じられていた「左膝」ではなく「右膝です」と初めて明かした。11日のBミュンヘン戦で痛めたものだが、当時は6針を縫った左すねの痛みが強く「数日たつまで、右だと分からなかった」と説明した。

 全治などは「日本に帰って検査を受けます。それまで分からない」。UAE戦だけでなく、28日のタイ戦も出場できないことは確実で、チームメートに対しては「100%、120%、信頼している」と託した。

 長谷部は、ハリルホジッチ監督やメディカルスタッフに報告するため、19日(日本時間20日)にドイツから代表宿舎へ到着。自力で歩きながら「話し合うために来た」と説明していたが、その後の診察の結果、23日UAE戦の強行出場は断念し、治療を最優先する方針を固めた。

 この負傷に関しては、フランクフルトが16日のMRI検査の結果を受けて18日に「手術を受ける」「無期限離脱」と発表。地元メディアも「一時帰国し、内視鏡手術を受ける」と追随していた。この日は、ドイツ紙ビルトも「ハセベは21日に日本へ出発し、手術を受けることになるだろう」と報道。患部は「半月板」と推測し、重傷の場合は今季のブンデスリーガ復帰は絶望と伝えていた。代表にとっても、昨年9月に敗れたUAEとの再戦を主将不在で迎えることが決まった。

 長谷部はW杯最終予選に初出場した08年以降、出場停止だった3試合を除く、すべての最終予選に出場してきた。その3試合も、すべて本大会出場決定後の消化試合。離脱によって、初めて「長谷部抜きの真剣勝負の最終予選」をチームは強いられることになった。