日本代表監督を4月7日付で解任されたバヒド・ハリルホジッチ氏(65)が11日までに、名誉回復を求めて日本協会を訴える意向を固め、今月中に民事訴訟を起こす準備に入った。第1回口頭弁論期日は6~7月になる見通し。大会中に前監督との係争が始まるという、異例の場外乱闘勃発の危機に直面した。

 ハリルホジッチ前監督を解任した日本協会の田嶋幸三会長(60)は11日、ワールドカップ(W杯)ロシア大会に出場する日本代表の必勝祈願で和歌山・田辺市などを訪れた。日本協会のシンボルマーク、日本代表エンブレムのモチーフともいえる八咫烏(やたがらす)が奉られており縁が深い熊野本宮大社で、提訴の動きについて聞かれると「前監督のそういうことに対しても、誠意を持ってしっかりと向き合っていきたい」と冷静に言った。

 「誠意」を示すためパリまで行き、直接クビを切ったのが4月7日。同9日に日本で解任会見し、1カ月以上がたつ。14日にはW杯予備登録メンバー35人の登録期限がやって来るが、電撃解任からの“ハリル問題”はくすぶり続け、法廷闘争に持ち込まれそうな気配。ただ、解任会見で田嶋会長が「法務関係の方とちゃんと話をした」と話した通り、日本協会は手続き上の問題がないという今も変わらぬ認識を持っている。

 必勝祈願で同会長はW杯1次リーグ突破から、最高成績となる8強入りを祈願した。「我々、チームはもう、前に進んでいますから。(訴訟問題とは)まったく関係なく、進めていく」。神々が集まるとされる特別な地で協会トップは、自らに言い聞かせるように語った。【八反誠】