日本代表の森保一監督(50)が、破竹の就任後3連勝を金星で飾った。南米の古豪ウルグアイと打ち合って4-3。勝利の瞬間こそ拍手で選手をたたえたが、最後まで冷静だった。南野に3戦連弾が生まれても、兼任で率いる東京オリンピック(五輪)世代の堂安が国際Aマッチ初得点をマークしても、いつも通りメモ帳にペンを走らせた。聖地埼玉で6万人弱から歓声を浴びても「私より選手が頑張ってくれた」と謙虚にタクトをふった。

史上最高タイ、FIFAランク5位の国に勝った。ランク1桁に勝った過去3回は外国人監督。日本人は2分け9敗だったが、新たな歴史を刻んだ。その試合前、選手に熱く伝えたのは「同じ目線で戦う」こと。気後れを許さなかった。コーチだったワールドカップ(W杯)ロシア大会を思い出し「W杯でベルギーと互角に戦えた。その自信が日本サッカー界の自信になっている」と16強の一体感を継承してみせた。

12日パナマ戦から先発9人を変更。今月招集されたフィールドプレーヤー(FP)20人を全員ピッチに立たせた。国際Aマッチ期間の2試合でFPが全員起用されたのは15年3月のハリルホジッチ監督以来。当時は「まず日本人を見る」ことが主眼だったが、W杯直後では初の日本人監督だからこそ、自国の森保監督にはアドバンテージがある。就任直後から連係構築に着手。練習では、約束事を最小限に抑えた攻撃の形を提示し、あとは「個の特長を生かし合う」ことを要求した。ロシア出場組5人と若手を融合。狙い通りの「化学反応」で12年ロンドン五輪世代の大迫、16年リオ世代の南野、20年東京世代の堂安が得点を重ねた。

責務の「世代交代」が急速に進む采配に、代表通算110試合目のDF長友も感服する。「もし自分が代表から外れていても、見に来たいと思える代表」。そう言われても森保監督は満足しない。「今日の質がトップではない。もっと上げていく」。ロシア8強ウルグアイ撃破を、目標のW杯カタール大会ベスト8への出発点にする。【木下淳】